豆電球をつけて寝る人が知らない残酷な真実…明るい寝室が“病”を招くーー
(写真:PIXTA)
豆電球をつけたまま寝るのが癖になっていたり、テレビをつけたまま寝てしまうことはありませんか?実はその習慣、寝ている間に大病を招く可能性があるんです。
「ぐっすり眠りたいなら、寝室は暗くするのが基本。目を閉じていても、まぶたを通して光を感じますから、天井照明は豆電球も消すのがおすすめです」
そう話すのは睡眠専門医で、めいほう睡眠めまいクリニック院長の中山明峰先生だ。
眠りには「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンが関係していて、自然界では、徐々に暗くなり始める午後3時ごろからメラトニンの分泌が始まり、深夜の午前0時~3時にピークを迎え、明け方の午前5時ごろから減っていく。
だが、現代人は夜でも照明のついた明るい部屋で過ごすことが多い。中山先生いわく、こうした光を浴びるリズムの変化が、体内時計を狂わせ、メラトニンの分泌に作用し、睡眠に悪影響を与えるのだそう。
’19年11月、奈良県立医科大学は、夜の寝室の明るさが動脈硬化の進行に影響を与えるという研究結果を発表している。
同大学の研究チームが、奈良県に住む60歳以上の989人を対象に調査。
照度計で測定した寝室の明るさによってグループ分けし、動脈硬化の指標となる頸動脈の厚さを測定した。もっとも明るいグループはもっとも暗いグループに対し、心筋梗塞を10%、脳梗塞を11.6%増加させるほど頸動脈が厚くなっていたという。
さらに’22年9月には同じ研究チームが40歳以上の約3千人を対象にした調査で、肥満指標などのほか白血球数も測定。明るい部屋で寝るグループは暗い寝室のグループより、心臓発作や脳卒中、動脈硬化などの予測因子である白血球数が高かったと発表している。
明るい寝室は、メラトニン分泌量の減少や睡眠障害に加えて、白血球数を増加させ、心臓発作や脳卒中などの突然死を招く危険性を高めるというのだ。
■寝る前は間接照明で過ごす
テレビをつけたまま寝落ちしたり、なんとなくの習慣で豆電球をつけたまま寝たりなど、寝室の明るさがそれほど重大だと考えたことがない人が多いのでは。
そこで中山先生に、正しい真っ暗寝室の作り方をうかがった(図参照)。【図解】正しい暗闇寝室の作り方
「まず、夜間でも街灯や周りの住宅など外からの光が入ってしまう場合、遮光カーテンをつけるとよいでしょう」(中山先生・以下同)
安価で買える遮光裏地の利用でもよい。
カーテンフックに掛けるだけなので、取り付けも簡単だ。また、左右のカーテンの間に隙間を作らないよう、マグネット式のカーテンクリップなどを利用するのも効果的。
豆電球も消したほうがよいとのことだが、暗闇が怖い人はどうすればいい?
「恐怖心は眠りを妨げます。怖くて寝れなくては本末転倒。真っ暗にこだわらず、足元など、自分の体より低い位置に小さな明かりを置くと、明かりが直接目に入らないのでおすすめです」
天井照明の豆電球は、小さな明かりとはいえ直接目に入る位置がよくない。明かりは置く高さや場所、光の方向に注意を払おう。
また、真っ暗寝室を作るうえで注意したいのが夜間のトイレ対策。
「中高年になると、夜中のトイレも増えるでしょう。
真っ暗だと転倒の危険もあるので、フットライトを利用してはいかがでしょう」
人感センサー内蔵のフットライトは、2~3000円程度で購入できる。必要なときだけ照明がつくため、真っ暗寝室にはピッタリだ。
「入眠前は、照明を電球色のような暖色系の明かりに変えましょう。天井照明を消し、暖色系の間接照明に切り替えるのも手。ブルーライトには覚醒作用があるので、就寝2~3時間前からスマホを避けるのも大切です」
熟睡に効果的な夜の真っ暗寝室。しかし、スッキリした目覚めのためには朝日を浴びることも重要だと中山先生は強調する。
「カーテンの隙間は四方をがっちり閉じるのではなく、朝日が差し込む程度にするのがベターです」
しっかり眠ることとスッキリ目覚めること。そのためには夜の暗さと朝の明るさ、両方のバランスが大切なのだという。
スマホと連動させタイマーをセットすれば、毎朝同時刻に自動でカーテンが開く、カーテンの自動開閉機を取り入れるのもよいだろう。1万円前後で購入可能だ。
「昨今、睡眠障害を訴える人がとても増えています。夜の明かりなど眠る環境に気を使うことで改善する人も多いでしょう」
健康な毎日を支える快適な睡眠環境をつくるため、寝室の明かりを見直してみよう。