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腎臓が“寿命を決める”老廃物排出力を高めて病気を防ぐ食事10

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腎臓が“寿命を決める”老廃物排出力を高めて病気を防ぐ食事10

腎臓に優しい食事を(写真:PIXTA)



「腎臓の大きな役割は、尿を作って老廃物を排出すること。腎臓が尿を作らないと尿毒症になり死に至ることもありますが、重要な役割はそれだけではありません。腎臓は体内の水分や塩分、血圧の調節や、造血、造骨など生命維持に欠かせないたくさんの機能に関わっています。つまり腎機能の維持が命に直結する。腎臓は“寿命を決める臓器”なのです」

そう話すのは東北大学名誉教授で山形県立保健医療大学理事長・学長の腎臓医・上月正博先生だ。

「しかし、多くの人は腎臓に無関心です。気づかぬうちに“慢性腎臓病”になっていることも」(上月先生・以下同)

慢性腎臓病のおもな症状は、だるさやむくみ、食欲不振、吐き気、動悸、息切れなどだが、こうした症状が現れるのは病気がかなり進行してから。

初期のうちは自覚症状がなく、腎臓は“沈黙の臓器”といわれる。
私たちは不調や痛みなどを感じないまま、腎機能の低下を放置しがちなのだ。

その結果、国内の慢性腎臓病の患者は増え続けて1330万人にも上っている。成人の8人に1人が腎臓病という計算だ。

さらに腎機能は加齢とともに低下し、腎臓病は70代では3人に1人、80歳以上になると2人に1人に達する。

■心筋梗塞や脳卒中を引き起こす慢性腎臓病

慢性腎臓病になると、どんなリスクがあるのだろう。

「腎臓のろ過機能が低下してタンパク尿が出たり、血管が硬くなってカルシウムが沈着することも。こうした病変が、心臓で起これば狭心症や心筋梗塞など、脳で起これば脳梗塞や脳出血などを引き起こす危険性があります」

恐ろしい慢性腎臓病だが、先述のとおり、加齢に伴う腎機能の低下は免れないという。

「50代以降は特に注意が必要です。
また女性は『月経痛や頭痛などでよく痛み止めを使った』という人が多いのでは。痛み止めや解熱剤などは飲みすぎると腎臓にダメージを与えます。長期間服用していた人は腎機能低下の恐れがあるので、ぜひ検査を受けてください」

腎機能には加齢や薬のほか、糖尿病や高血圧、メタボリック症候群などの生活習慣病も負担になる。

慢性腎臓病の進行は止められないのだろうか。
「生活習慣病の薬物療法に加えて、運動療法が有効で、腎臓病の進行の抑制や、回復も期待できます。ですが、検査も受けず放置していると、末期の腎不全や尿毒症になりかねません。そうなると、人工透析か腎移植を受けるしかなく、命を落とすケースもあります」

いっぽうで、腎臓はよい食べ方をすれば守ることができるという。

「腎臓は食べたもののうち、不要なものを捨てる臓器です。
捨てなくてはならないものが多いと、腎臓は疲れやすくなります。反対に、捨てるものが少ない食事は腎臓を守ってくれるのです」

腎臓病の人は食事で減塩や摂取カロリーの制限だけでなく、重症になればタンパク質やカリウム、リンの摂取制限や血糖コントロールが必要な人もいる。

腎臓を守るためには複雑で続けづらい対策をしなくてはならないのだろうか?

「人工透析が必要なほど重症でなければ、それほど厳密に考えなくてもいいでしょう。まずは目標を決めましょう。塩分を1日3グラム以上6グラム未満に抑えること。腎臓の機能低下がない限りタンパク質は毎食20グラム以上取ること。そして脳卒中や心筋梗塞を招く高リン血症のもととなるリン酸塩を避けることです。そのために、私が考えたつぎの『シンプルな食べ方10カ条』を実践してください」

■おすすめは魚の和定食。
野菜や海藻も積極的に

【1】栄養成分表を必ずチェック

食品パッケージの裏面にある栄養成分表を見て、塩分とエネルギー(カロリー)、タンパク質の量をチェック。塩分は「食塩相当量」で考える。記載がナトリウム量なら、ナトリウム量(ミリグラム)×2.54÷1000が食塩相当量となる。

【2】菓子パンやお菓子を控える

高カロリー・高糖質・高脂質なので、腎臓にとって要注意食品だ。

【3】甘いジュースや砂糖入りコーヒーを控える

液体の糖質は吸収されやすく血糖値を上げやすい。水分補給はなるべく糖分を含まない飲み物に。

【4】肉の脂身や皮は残す

脂身や皮はカロリー大!脂肪の少ない鶏のささ身やむね肉、牛や豚ならヒレ肉などを選ぶのも手。

【5】ハム、ベーコン、ソーセージ、インスタント食品を食べすぎない

塩分が多いうえ、リン酸塩も含まれる。
食べるときは水にさらすか、ゆでこぼしてから。

【6】朝食は「無塩」を目指す

朝食を無塩にできれば、1日の塩分量を昼食と夕食の2回に割り振れる。たとえば低糖質グラノーラと牛乳、バナナとヨーグルト、ふかし芋と牛乳などが無塩朝食だ。

【7】ファストフード、揚げ物、ラーメンを控える

高カロリー・高塩分・高糖質・高脂質の代表格。ご褒美として週1~2回食べる程度に抑えよう。

【8】一汁三菜、魚の和定食を野菜から食べる

定食は食材が多く必要な栄養素がそろいやすい。主菜は肉よりも脂質の少ない魚が◎。ただ塩焼きなどは塩分が多いので、薄味の野菜をたっぷりと、ご飯は少なめに。
また、糖質の吸収を穏やかにするため、野菜から食べ始めよう。

【9】緑黄色野菜、淡色野菜を増やす

野菜には、腎臓を傷める活性酸素の害を抑える抗酸化作用や、塩分を体外に排出する働きなどがある。毎日350グラムの野菜を食べよう。

【10】海藻、きのこ、こんにゃくを増やす

便秘は腎臓にも悪影響を与える。食物繊維が豊富で低カロリーの食材で、腸の健康を保とう。
腎臓を守る食べ方は早く始めて、続けることが肝心。腎機能を長持ちさせて、元気に長生きしよう。

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