2023年4月12日 11:00
便秘薬常用で認知症の発症リスク高まる可能性…英最新研究が発表
「この追跡調査は、下剤を使用している人としていない人との比較研究であるため、メカニズムまでは解明されていません。ただ、腸内細菌叢と脳の関係が影響していると考えられるのではないでしょうか」(白澤先生、以下同)
脳と腸内細菌叢の関係が深いことは、近年の研究からわかっている。脳腸相関という概念で、「腸は第二の脳」と呼ばれるほど、お互いが密接に影響を及ぼしあう。
「便秘という状態であること自体が、腸内環境が乱れていると捉えられます。健康な腸内環境であれば、そこから脳の状態に問題は生じません。しかし、腸内環境が悪化すると、迷走神経などを通じて腸内細菌が脳を刺激し、最終的に認知症発生のリスクにつながる。このことは、プロトンポンプ阻害剤という胃酸を抑える薬と認知症の関係を研究した結果からも明らかになっています」
下剤の使用で、腸内細菌叢が変化し、腸内の細菌が発する毒素が直接脳に影響を与えるという可能性もあるそう。また、腸の粘膜に穴が開くリーキーガット症候群を起こすことによって脳に影響がもたらされるという説もあるという。
「便秘になることや下剤を使うことで腸内細菌叢を健康な状態に保つのが難しくなります。