熱中症で「白内障」リスク4倍! 大学教授の追跡調査でリスク判明
(佐々木教授・以下同)
■水晶体のタンパク質が熱で変性する可能性
そこで今回、体温が40度にもなり、目の中の温度も上昇させてしまう熱中症に注目したのだ。
「その結果、熱中症にかかったことがない60代の白内障の発症率は5%ほどでしたが、5年以内に熱中症にかかったことがある患者の発症率は20%を超え、発症リスクが4倍以上に高まりました。30代、40代、50代という若い世代においても、熱中症が白内障リスクを高めるという、同様の結果が得られました」
なぜ、熱が白内障に影響を与えるのだろうか。
「眼内の温度が上昇すると、水晶体を作っているクリスタリンというタンパク質が変性してしまうのです。わかりやすく言うと、生卵の白身に熱が加わると、白く変色するのと同じ。また、一度、濁ってしまうと元に戻ることはありません」
白内障はQOLを低下させ、治療には手術するしか方法がないため、発症リスクはぜひ、下げたいところだ。「熱中症になったり、猛暑日に帰宅して平熱よりも体温が上がっているようなら、首、脇だけでなく、目を冷やすことも、白内障リスクを減らすのに有効である可能性があります」
8月以降も予想される猛暑。熱中症と白内障対策を忘れずに。