インフル大流行のなか「せき止め」が在庫不足に…解消は来春以降か
また、製造ラインに余裕がなく、思うように増産することもできない。結果、現在のせき止め薬や痰切り薬の不足につながっているのだ。
さらに、ジェネリック薬の製造量が急増していることも、問題の一因であるという。
「一般的に、処方薬では3割を患者、7割を国・保険者が負担します。国としては、医療財政が逼迫しているため、薬を安価にして負担を軽減したい思惑があります」(坂巻さん)
こうしたことから、安価なジェネリック薬のシェアが近年拡大してきた。
「全医薬品のなかでジェネリック薬が占める割合は、’07年には約35%でしたが、’20年には約80%と急増しています。このように使用量が増えれば製造方法も変わってきます。年間の生産量が1千錠だったところを1億錠に増やすとなれば作り方が変わってくるもの。
しかし、作り方を変えるには規制当局に申請する必要がある。承認を待つ間は本来は製造できないため、従来どおりの作り方を続けると、厳密には法令違反になります」(坂巻さん)
さらに、国の対応が遅れていることも問題だという。
「たとえばヨーロッパは、今冬に抗生物質が足りなくなるからと、7月には対策案を打ち出しています。