理研・京大の研究チームが発表―コロナ既感染 累計4千万人全員に心不全のリスク
(写真:星道/PIXTA)
新型コロナウイルスの変異株JN.1による感染急増が懸念されるなか、新型コロナの感染で心不全リスクが高まる可能性を示唆した論文が、昨年12月23日(日本時間)に科学雑誌『iScience』オンライン版に掲載された。
研究チームの理化学研究所上級研究員で医師の升本英利さんが、解説する。
「新型コロナは、多くの人が肺炎を引き起こす病気として捉えていると思いますが、実はほかの臓器にも影響があると考えられています。
なかでも心臓には、新型コロナウイルスの表面にある突起にくっつきやすい、ACE2というタンパク質が多く存在しているのです」
そこで研究チームは、iPS細胞でヒトの心臓に近いものを作り、実験を行った。
「新型コロナに感染し、回り回ってウイルスが心臓に到達した場合、心臓にも感染し細胞に入り込み、ダメージを与える可能性があることがわかりました」
強い感染(高力価感染)を起こした場合、感染からの日数を追うごとに心臓の機能が落ちていった。一方、軽い感染(低力価感染)や中程度の感染(中力価感染)などの場合は、一時的に心臓の機能が落ちたものの、その後、心臓の機能は回復したという。