篠山紀信さん83歳、坂田利夫さん82歳での“老衰”による逝去に「若すぎる」の声…医師解説「老衰が急増」の理由
(久住さん、以下同)
■「老衰」は遺族の後悔も生まれにくい
こうした指針もあって、以前であれば「心不全」とされたケースも「老衰」とされることが多くなった。
しかし、じつは「老衰」に明確な定義はないという。
「人によって老化のスピードは違いますし、明確な症状があるわけではないので、その定義は難しいのです。2018年に日本プライマリ・ケア連合学会誌に掲載された『在宅医療における死因としての老衰の診断に関する調査』では、年齢の目安については『年齢的な目安がない』(26.3%)、『80歳以上』(21.9%)、『85歳以上』(19.6%)、『90歳以上』(19%)と回答が寄せられており、年齢に関しても、医師によって判断基準も異なっています」
では、どのような症状があると、老衰と判断されるのだろうか。
「外出が好きな人が歩かなくなったり、立つときに思わず『よっこらしょ』と言ってしまったりしてから、徐々に横になる時間が増えるなどして、衰えていく過程をたどっていきます。さらに進むと、足の筋肉が痩せて、立つことができなくなったり、一人で食事ができていた人が介助がなければ食べられなくなったり、食べる量が減ったり、寝ている時間が長くなったりして、しだいに弱り、そして最期は眠るように亡くなっていきます。