大谷翔平のメンタルコーチが解説する“前向き思考”の作り方 ポイントは“夜寝る前”にあった!
を出版したが、そのきっかけは昨年、日本代表が優勝したWBCでの出来事だったという。
「決勝の対米国戦を前に大谷選手がチームメートの前で『憧れるのをやめましょう』と話しかけました。あれは闘う相手が有名な大リーガーばかりでつい戦う前から一歩下がってしまうことを戒めた言葉です。じつはあの言葉こそは花巻東高時代、私が『相手選手がどんなにすごくても尊敬するな、勝てなくなる』と教えたこと。いまでも覚えていてくれたのかという思いがこの本を書かせました」
西田さんが初めて大谷選手と対面したのは2010年12月。大谷選手がまだ1年生の冬だった。
「その年の夏、花巻東は甲子園に出場できず、大谷選手の能力を認めていた花巻東の先輩のプロ野球選手の紹介で、私のSBT(目標を達成するための脳の使い方を指導するメンタルプログラム)をチーム全体に指導してほしいとのことで伺いました。最初にチームメートと教室に入ってきたとき、ほかの選手が真面目な顔をして入ってくるなか、彼だけがニコニコした表情で、これから何が始まるんだろうと興味津々の様子だったんです。
私のメンタルコーチ人生で、こんな選手は初めてでした」
■クリアリング能力が現役のプロ以上だった
指導にあたって、西田さんは最初に選手全員に心理テストを行うことにしている。