疲労、不眠、腰痛…「体の不調別」に正解があった!“カイロを貼るべき場所”6選
(写真:teresa/PIXTA)
「冷え、肩こり、むくみ、慢性疲労などの不調は、毛細血管が傷ついたり細くなったりした“ゴースト血管”が招いているかもしれません。そんな消えつつある毛細血管は、使い捨てカイロでよみがえらせましょう。ピンポイントで温めることで症状が改善します」
と語るのは、『体の不調が整う!カイロを貼るだけ健康法』(宝島社)の著者で、これまで10万人のさまざまな不調を改善してきた理学療法士の山内義弘さん。
「血管というと、動脈や静脈など太い血管をイメージする人が多いと思いますが、血管の99%は毛細血管です。総距離は地球2周半分ともいわれ、体のすみずみまで酸素と栄養を運びます。しかし、毛細血管は加齢とともに減少し、60代の人は、20代に比べて4割も消えてしまうという研究報告も。毛細血管の“ゴースト化”が進むと、血流が悪化して全身にくまなく酸素と栄養が行き届かなくなり、水分や老廃物の回収も滞り、さまざまな不調を招いてしまうのです」
ゴースト血管を放置すると、動脈硬化や心筋梗塞などの重い病気を引き起こすことも。とくに中高年で注意したいのは、慢性疲労を伴う腎臓の機能低下だ。
「おもに血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出する腎臓は、毛細血管が毛糸玉のように集まった構造をしています。この毛細血管が減少してしまうことで腎臓の働きが低下して、慢性疲労、貧血、高血圧、骨がもろくなるなど全身にさまざまな影響を及ぼします。
■毛細血管をピンポイントで温めることで症状が改善します
カイロを使った温熱療法で血流が改善されれば血管の再生力が高まり、腎臓の毛細血管のかたまりもよみがえっていくのです。効果を実感しやすいのが、腎臓の近くの肋骨に沿ってカイロを貼ること。骨を通して熱が腎臓に伝わっていきます」
使うカイロは、ドラッグストアで売っているものなどなんでもOKだが、基本的には貼るタイプ(粘着タイプ)がおすすめだ。
また低温やけどのリスクがあるため、カイロは肌に直接貼らないこと。「服の上」からカイロを貼っても十分効果はある。
■カイロの効能は冷え対策だけじゃない
寝つきが悪かったり、夜中に何度も起きたりと睡眠の質が落ちているのも毛細血管のゴースト化が引き起こしているせいかも。
快眠にもカイロが有効だという。
「臓器や脳などの体の中心の体温“深部体温”は、日中は高くなっていますが、寝る前に熱を体外に逃がして深部体温が下がることでスムーズな入眠ができ、熟睡感も得られます。じつは、体内の熱は血液を通して手足の毛細血管が拡張して放熱します。ところが手足の毛細血管が消えてしまっていると熱を放散できません。深部体温が下がらないため、睡眠の質が悪化してしまうのです。カイロを足先に貼って、血行を促進して、体の奥の熱を誘導することが大事。寝る前に、10~20分ほどカイロで温めて、寝るときにははがしてください。温かいままだと、熱の放散がうまくいかずに、かえって睡眠の質が低下します」
■夜間頻尿にはふくらはぎにカイロを!
加齢とともに硬くなる膀胱が引き起こす夜間頻尿も、カイロによって改善が期待できるようだ。
しかし、カイロを貼る場所は、膀胱から離れたふくらはぎだという。
「ふくらはぎは、下半身の血液を心臓に送り出すため“第二の心臓”ともいわれますが、じつは、悪い意味で“第二の膀胱”とも。というのも日中、起きているときは重力によって、尿となる血液がふくらはぎにたまるからです。それが夜、横になったときに、血液が心臓に戻り、その後、腎臓に送られ尿となり、夜間に尿意で目が覚めてしまうのです。
それを防ぐためには、ふくらはぎをカイロで温めて血行をよくすること。寝る3時間前にカイロを貼っておけば、就寝前にふくらはぎにたまった老廃物を尿として排出できるので、夜間、尿意を催すことも減っていくでしょう」
このカイロによる不調や痛みなどの改善は、単に血流をよくすることだけではない。
「カイロの“温かさ”だけでなく、貼る場所によって“重さ”で筋肉を刺激する効果もあります。とくに、ふだん、なかなか使わない筋肉は、カイロの少しの重さが刺激となって動きがよくなります。
たとえば、ひざのお皿にカイロを貼ることで、ひざの関節軟骨を温めて痛みを改善するだけでなく、重みで、ひざまわりの筋肉が刺激され働きが改善します。同様に、姿勢の悪さから引き起こされる肩や腰などのこりや痛みもカイロを貼ることで改善できるのです」
実際に、山内さんのYouTubeチャンネルには、カイロを貼って試した視聴者から《肋骨の下とふくらはぎにカイロを貼ったら、すっきり排尿できて、疲労感も残らず、体も軽くなりました!》といった喜びの声が多く寄せられる。
そこで不調別にカイロを貼る場所を紹介。毎日続けることで、さまざまな不調の改善が期待できるカイロ健康法、ぜひお試しあれ!