「インフルエンザB型」今季2回目の警報レベル…症状は“高熱と下痢”、A型との違いは?
インフルエンザB型の特徴は、光熱に加え下痢も発症する(写真:bino/PIXTA)
インフルエンザウイルスが全国各地で暴れている。
2月16日に、厚生労働省が発表した2月2日~2月8日までの1週間に報告されたインフルエンザ感染者数は、16万4千744人に。全国平均で大流行を示す「警報レベル」(1医療機関あたり30人)を突破し、1医療機関あたり43.34人となっている。
今シーズンは、すでに昨年11月に基準を超えており、1シーズンに2度、警報レベルを超えるのはここ10シーズンで初めてだ。
一之江駅前ひまわり医院(東京都江戸川区)の伊藤大介院長が語る。
「現在、猛威をふるっているのはインフルエンザB型。例年は12月~1月にA型が流行のピークを迎え、2~3月に小・中規模ながらもB型のピークがきます。
ところが、今シーズンは、A型が通常より1カ月以上も早くに流行したことで、まだ寒さが本格化している今、B型が活発に。
さらに異常な乾燥や大寒波が拍車をかけ警戒レベル級の流行につながったのでしょう。
また発症や重症化を防ぐインフルエンザワクチンは、A型とB型に対応していますが、持続効果は約5カ月。昨秋に接種した人はそろそろ効き目が薄くなっている。また通常なら花粉症対策でマスクをしている人が増える時季ですが、花粉の飛散が遅れておりマスク姿が少ないこともB型の感染が広がった理由の一つと考えています」
B型は症状が軽い……と誤解している人が多いが、その認識は今すぐにあらためたほうがいい。
「種類や変異が多く大流行を起こしやすいA型のほうが注目されますが、B型も流行すると“やっかい”であることは間違いありません。
B型の特徴は高熱が長く続くこと。自宅待機期間(発症後5日)を過ぎても熱が下がらない人がいます。また嘔吐や下痢などの消化器系の症状が現れやすいのも大きな特徴。
肺炎、脳炎、心筋炎といった合併症のリスクもA型と比較しても同じくらいあり、症状が強く出やすい高齢者や小児は注意が必要です」(伊藤先生、以下同)
■症状が出る前に感染を拡大させている可能性がある
発症したら抗インフルエンザ薬が有効だが、B型はA型と比べて潜伏期間が短いことから、インフルエンザと診断されず、適切な薬が処方されないこともあるという。「インフルエンザの診断は、ウイルス抗原を検出する抗原検査で行いますが、正確に調べるためには発症から12~48時間以内に行うのが理想的です。B型は潜伏期間が短いため、発症しているのに、ウイルス抗原が検出されずに、薬による治療をしそこねてしまうことも。
それを防ぐためにも症状が出てから1日ほど待ってから抗原検査するか、より精度の高いPCR検査を受けたほうがいいでしょう」
A型は最も感染力が強い時期と発熱などの症状が強いときが重なるが、B型は症状が出る最大2日前から感染力が高まる可能性があるといわれている。つまり、症状が出る前の感染者が、無意識に感染拡大させるリスクが高いのだ。
感染を防ぐにはどうすればいいのだろうか?
「ワクチンを打てばいいのでしょうが、効果を発揮するのは接種の2週間後。流行のさなかに打っても実効性はありません。そもそもワクチン接種をしている医療機関が少なくなっています。
どうしても感染したくない場合は、予防投与として抗ウイルス薬を使用して、発症を未然に防ぐ方法も。とくに「リレンザ」はB型に対して有効なデータが報告されています。
大切なことは、油断することなく、手洗い、換気、マスクといった感染対策を徹底することです」
■口内が汚れているとインフルエンザに感染しやすい
そんなインフルエンザ対策に、口腔ケアも注目されている。
「インフルエンザウイルスには『ヘマグルチニン』というトゲがあり、それが上気道粘膜に付着することで感染します。通常、粘膜はタンパク質の膜で覆われていてウイルスが簡単にくっつかないようになっています。
ところが口内が汚れていると、プラーク(歯垢)に含まれる『プロテアーゼ』というタンパク質分解酵素が膜を破ってしまい、インフルエンザに感染しやすくなってしまうのです」
そう語るのは日本歯科医師会代議員で、鶴見大学歯学部臨床教授の江口康久万先生。しっかり歯磨きをすることによるインフルエンザ予防効果はほかにもある。
「インフルエンザには『ノイラミニダーゼ』というもう一つのトゲがあり、粘膜上の細胞内でウイルスを増殖させ発症します。
この働きを抑えるのがノイラミニダーゼ阻害剤であるタミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬。
ところが、プラークに含まれる細胞にもノイラミニダーゼがあり、これには抗ウイルス薬が効きません。それどころか薬の効果を下げてしまうともいわれています。
そもそも、唾液中にはウイルスや細菌の侵入を防ぐ口腔免疫(IgA)がありますが、プラークや汚れがたまっていると、口内免疫がそれらの汚れの除去に消費されてしまい、免疫力が低下してしまうのです」
では、口の中を清潔に保つには、どのような歯磨きの仕方がいいのだろうか?
「1本1本、丁寧に時間をかけて磨くこと。座って歯磨きしてもいいですが、動きながらはNG。転倒したときに大事故につながります。
さらに歯磨きとともに口の周りの筋肉を鍛えることも大事。年を重ねると口輪筋が衰えて、無意識のうちに口呼吸になってしまい、インフルエンザの感染リスクを高めます。
口を閉じて唾液が飛ばないように歯を磨くことで口輪筋のトレーニングにもなるのです」
異例の流行を見せるインフルエンザには、油断しない姿勢と徹底した感染対策に加えて、口閉じ歯磨きで対処しよう。