【名城大学】スイゼンジノリがつくる紫外線吸収物質を発見 ~天然由来の美容成分として化粧品分野への応用に期待~
サクリピン A とサクリピン B はシス-トランス異性 注5) の関係にあります。ラン藻において、このような化学構造の化合物はこれまでに見つかっていません。 マイコスポリン様アミノ酸やシトネミンとは異なる新しいタイプのラン藻由来の紫外線吸収物質の発見は学術的重要性が高く、注目に値します。
サクリピンはスイゼンジノリの乾燥処理工程で生じる
興味深いことに、サクリピンA, B は生のスイゼンジノリには殆ど含まれず、乾燥加工された製品に多く含まれることが分かりました。このことから、スイゼンジノリが乾燥ストレスを感知し、それに応答する過程でサクリピン A, B が生合成される ことを示しています。スイゼンジノリにおいてサクリピン A, B がどのような分子機構で環境ストレス応答に関与しているのかはまだ分かっていません。
サクリピンの生理活性
サクリピンA, B の吸収極大波長はともに 320 nm 付近で、日焼けや日焼けによる炎症の原因となる UVA および UVB 領域の波長をよく吸収することが分かりました。また、サクリピン A, B は、紫外線を吸収するだけでなく、アンチエイジングに寄与する抗酸化活性 注6)