ひざの痛みクリニック・チーフドクター長谷川 良一のインタビュー記事を「人民日報海外版日本月刊」にて公開
それに術後の回復にも長い時間がかかりますし、日常生活にも大きな支障が出ます。
注射と手術のあいだを埋めるもの、それを患者さまに提供できないだろうか。私が得意とする再生医療は、まさにその空白を埋めるものなのです。注射によって膝関節の痛みを和らげ、さらには再生効果を期待できるサイトカインを注入する。これは患者さまのニーズに合致した治療方法と言えるでしょう。
■PRPの進化版、ACRS療法
―― 貴院では再生医療をどのように膝関節痛の治療に応用しているのでしょうか。どういった種類の治療法があり、それらをどのような患者に施しているのか、またその治療期間はどれくらいなのかを具体的に教えていただけますか。これらも本誌の読者が知りたいことではないかと思います。
長谷川 それにはまずドイツのSANAKIN社が開発した多血小板血漿(platelet-rich plasma、以下PRPと略す)についてお話しする必要があります。血小板がもつ凝血作用は人体を守るだけでなく、血小板が活性化されると大量のサイトカインが分泌され、もともと私たちの体に備わっている、組織を再生修復しようとする働きが促されます。そのなかに含まれる多くの成長因子やタンパク質は、菌の抑制や痛みの緩和という特殊な作用を持っており、組織が自然に治癒していくサイクルを速めるのです。