【医師監修】睡眠パターンが変化する!妊娠中に良い睡眠を得るには?
妊娠してから「眠気が強くなった」「ぐっすり眠れなくなった」と悩む妊婦さんのために、今回は妊娠中の睡眠についてお話しします。
妊娠各期の睡眠パターンについて
妊娠すると、妊娠を維持するためのホルモン(プロゲステロン、エストロゲン)の影響や、体の変化、自律神経のアンバランスによって、睡眠不足や疲労感に悩むことがあります。睡眠に関する悩みに個人差はありますが、妊娠各期の一般的な睡眠パターンは以下の通りです。
妊娠初期(0〜15週)の睡眠
妊娠初期(0〜15週)は主にプロゲステロンの作用で、日中の眠気が強くなる過眠の状態が起きる一方で、夜間は寝つきが悪くなったりします。妊娠した喜びと同時に、戸惑いや不安があり、ちょっとしたできごとにも敏感になり、つわりの時期と重なるため、心身の疲労感が強く、「たくさん寝ても眠い」「寝ても寝足りない」など強い眠気に悩むことがあります。
妊娠中期(16〜27週)の睡眠
妊娠中期(16〜27週)は、つわりから解放され、初期に比べて心身の疲労感が和らぐことで、安定した睡眠をとれるようになります。妊娠後期が近づいてくると、エストロゲンの作用で眠りが浅くなる妊婦さんもいます。これは産後に夜間の授乳などの赤ちゃんのお世話に対応するための準備として、眠りが浅くなると考えられています。
妊娠後期(28週以降)の睡眠
妊娠後期(28週以降)は、おなかが大きくなるために起こる頻尿や腰背部痛、こむら返り、息切れ、腹部のかゆみなどの不快な症状が重なったり、胎動や不規則なおなかの張りを感じたり、出産に対する不安が増すことで、なかなか寝付けなかったり、夜間に目覚めてしまうことがあります。妊娠中期と同じように、エストロゲンの作用で眠りが浅くなりやすい時期です。
過眠や睡眠不足が起こす心身への影響
睡眠には、脳や神経、内分泌、免疫系などを調整して心身を健康に保つ役割があります。妊婦に限らず、人間は十分に良い睡眠が得られないと、脳や体の休息や回復を妨げることになります。脳の機能が低下すると記憶力、判断力、問題解決力などが低下し、感情のコントロールがうまくできず、精神的に不安定になりやすい状態です。
妊婦さんは妊娠経過や赤ちゃんのことだけでなく、身の回りのできごとに対して敏感になり、不安を抱えやすいため、よい睡眠を得られるように心がけることが大切です。