冷え対策に◎な「しょうが」。妊娠中に食べるときの注意点は?
つわり(重症悪阻を含む)のために処方される漢方薬の半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)や小半夏加茯苓湯(ショウハンゲカブクリュウトウ)には、生姜(ショウキョウ)が含まれています。これらの漢方薬の処方を受けている間は、しょうがの成分の過剰摂取によって漢方薬の効果が弱まることを防ぐため、しょうがを食品として摂取するのは控えましょう。
・しょうがは、妊娠中の冷えを必ず改善するという報告は今のところありません。しょうがを過剰摂取することでさらに冷えが起きている妊婦さんもいます。冷えを改善したい場合は、まずは医師や助産師へ相談しましょう。
・妊娠中に下記の治療薬を使用している場合は、しょうがの成分によって治療効果を妨げる可能性があるため注意が必要です。治療中の妊婦さんが、しょうがの摂取について気になる場合は、医師や薬剤師へ相談しましょう。
血糖値を下げる治療薬:インスリン(ヒューマリンR®ヒューマログ®ノボラピッド®等)
血液の凝固を防ぐ治療薬:ヘパリン(ヘパリンCa®)低用量アスピリン(バイアスピリン®バファリン配合錠A81)
血圧を下げる治療薬:カルシウム拮抗薬ニフェジピン(アダラート®)
・しょうがは妊娠中に必ず摂取しなければならない食品ではありません。
しょうがが苦手、あるいはしょうがを摂ることで体調が悪くなる妊婦さんは、摂取を控えましょう。また、妊娠中にしょうがの成分を含むサプリメントや健康食品を摂る必要はありません。妊婦さんをターゲットにした製品の情報や広告に惑わされないように気をつけましょう。
なぜ特定の食品が健康に良いと言われるの?
東洋医学では、「薬食同源(医食同源)」という言葉があり、食べ物も薬も本質的には同じものでどちらも重要という考え方があります。東洋医学で処方する漢方薬は、複数の生薬を配合して作られます。生薬とは、長い歴史のなかから薬としての効果があると判明している自然に存在する植物や動物を原料としています。体の症状を「寒:冷え、血行不良等」と「熱:ほてり、暑がり等」に分けて、「寒」には温める漢方薬、「熱」には冷やす漢方薬を処方します。
この理論のもと、例えば冷えのある人には、温める漢方薬を選ぶように食べ物も温める性質のものを食べることで、冷えが改善されていくと考えられています。