インフルエンザ予防接種を今すぐした方が良い理由【3児ママ小児科医直伝】
こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、3歳の子育て中です。今年はインフルエンザが早めに流行の兆しを見せています。 厚生労働省が早めに統計を取りはじめました。まだ、流行と言えるほどの地域は少ないですが、これからすぐ流行になる可能性もあるので、今回は予防についてお伝えします。
インフルエンザ、「予防」がとても大切!
インフルエンザは冬を中心に日本全国で流行する感染症です。毎年、本当にたくさんの人がかかりますし、まわりを見てみても「インフルエンザになっちゃった」と話つつ、今は元気で過ごしている人ばかりだとは思います。
ですが、インフルエンザには怖い合併症があります。
一番怖いのは「インフルエンザ脳症」です。オーストラリアの研究(Pediatric Active Enhanced Surveillanceネットワーク) では、インフルエンザ脳症になるのはまれではあるが、かかってしまうと半数に障害が残るというデータがあります。また、脳症にかかった子でワクチンを接種していた子はいませんでした。
他にも、肺炎、中耳炎などの合併症があり、「他の人もかかっているから、かかってもきちんと治る」というワケではなく、予防がとても大事です。
インフルエンザワクチンは効くの?
インフルエンザワクチンは「接種してもインフルエンザになってしまう」と、あえて接種しない人も見かけます。確かに、インフルエンザワクチンは毎年有効性に差があり、かつ接種しても絶対にかからないことを保障してくれるものではありません。ですが、脳症の例にもあるように、重症の合併症の予防としてとても重要です。
また、毎年インフルエンザの診療で、何十人何百人とインフルエンザにかかった人を診察していると、接種した人の方が明らかに重症度が低い人が多い印象です。
権威ある医学史『NEJM(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン)』という雑誌でも、「昔日本で行われていたインフルエンザワクチン集団接種は、インフルエンザの死亡を明らかに減らしていた」と報告されていて、「ひとりでも多くの人が接種することで、周りにまでインフルエンザに対して予防ができる」ということもわかっています。
接種のしかた
(1)