「子どもに市販薬」オススメしない驚きの理由【3児ママ小児科医の育児】
こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、3歳の子育て中です。生後半年をこえてくると、赤ちゃんはママの免疫がなくなり風邪をひきやすくなります。うちの3人の子どもたちも、たくさん風邪をひいてきました。でも、ほとんど“風邪薬”を飲んだことはありません。その理由を今回はお伝えします。
“風邪の薬”はない
病院に行くともらう風邪薬。風邪薬は”風邪を治すもの”ではありません。
風邪による鼻水を出しやすくしたり、咳を少し緩和したりする薬です。風邪の症状を無理やり押さえつけているだけなので、結局は子どもの免疫で風邪のウイルスをやっつけて、症状を良くしていくしかありません。
風邪薬に劇的な効果はない
【風邪薬に主に含まれているもの】
咳止め:チペピジン、デキストロメトルファン
痰切り:カルボシステイン、アンブロキソール
鼻水止め:抗ヒスタミン薬(たくさんの種類があります)
2004年にアメリカのピッツバーグで行われた研究によると、咳止めのデキストロメトルファンとプラセボ(偽薬)では、子どもの夜の咳への効果は変わらなかったという結果が出ています。
痰切りのカルボシステインは、発症後4〜7日くらいの痰に、いくらか効果があるとされています。(※1)
抗ヒスタミン薬に関しても、先ほどのピッツバーグの研究では、プラセボと比較して咳止め効果はありませんでした。2010年のイランの研究でも、抗ヒスタミン薬はプラセボよりは少し効果があるが、ハチミツよりも効果が劣るという結果が出ている研究もあります(※2)。どちらにせよ、劇的な効果はないようです。
副作用にも注意が必要です
また、副作用にも注意しなくてはいけません。今でも外来で普通に大量に処方され、市販のお薬にも入っているチペピジンやカルボシステインでも、副作用の報告があります。
抗ヒスタミン薬は、昔から熱性痙攣を誘発する可能性があると言われており(※3)、抗ヒスタミン薬が熱性痙攣の持続時間を長くすることが研究で言われています(※4)。
なので、薬を使うときは「眠れない、咳が止まらないなどで生活に支障が出るときに、つらい症状を緩和してくれるもの」と考えましょう。
市販の薬をオススメしないワケ
市販のかぜ薬は昔から成分が変わっていないものが多く、抗ヒスタミン薬が入っているものが多いです。