もう嘔吐で慌てない!赤ちゃんの対処のコツ【3児ママ小児科医の育児】
こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、3歳の子育て中です。小児科の受診で多い訴えでもあり、乳児健診でよく質問されることもある「赤ちゃんの嘔吐」。1回の嘔吐でも病気じゃないのか、脱水にならないのかと、いろいろ考えてしまいますよね。今回は、なるべく慌てずに、でも受診のタイミングを逃さないためのコツをお伝えしたいと思います。
赤ちゃんが嘔吐しやすい理由は…?
生後3カ月くらいまでの赤ちゃんは、元気でもよく嘔吐します。それは、ミルクが食道を通って胃に入っていくときに、胃の入り口の噴門(ふんもん)が大人よりも逆流しやすくなっているため、構造的に嘔吐をしやすいのです。
また、赤ちゃんは自分のおなかに対して、大量の母乳やミルクを飲んでいます。
赤ちゃんには嘔吐をしやすい状況がいろいろと揃っているのです。だから、1回の嘔吐で慌てなくて大丈夫!
赤ちゃんは体の中の水分の比率が高く、脱水になりやすいです。でも、1回多量に嘔吐しただけでは脱水にはなりません。冬は小児科の外来は風邪の子がたくさんいます。嘔吐してすぐに受診すると、他の風邪をもらってしまうこともあるので、慌てずに対処していくことが大切です。
この嘔吐は病気?
赤ちゃんの嘔吐の原因になる病気はたくさんありますが、ここでは大きく2つご紹介したいと思います。
1. 肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)
生後2週間から2カ月くらいの赤ちゃんに多い病気です。胃の出口である幽門(ゆうもん)が狭いために、ミルクが胃から先に進まないために嘔吐します。発症すると、母乳やミルクを飲むたびに毎回のように多量に嘔吐します。発症当初は元気ですが、栄養が入らないので、赤ちゃんは体重が減ってきます。
2. 胃腸炎
代表的なものはロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスなどですが、それ以外にも嘔吐や下痢を起こす病原菌はたくさんあります。嘔吐があり、食欲が落ち、下痢をすることもあります。嘔吐が続く、水分が摂れないことが続くと、脱水になる危険があります。
嘔吐したときのケアは?
まずは呼吸をチェック
嘔吐をしたら、まず赤ちゃんの呼吸状態をチェックします。吐物が逆流して気管に入ってしまうことがあるからです。