カンガルーケアは危険!? どうしてそう言われるようになったの!?
こんにちは! 助産師のREIKOです。出産後すぐに赤ちゃんをママの胸に抱かせて、直接肌を触れ合ったり、話しかけたり、授乳したりするカンガルーケア。「赤ちゃんが生まれたらカンガルーケアをしたい!」と思っているママもいらっしゃるのではないでしょうか? その一方で、カンガルーケアに伴う事故のニュースを耳にされたことのある方もいらっしゃると思います。そこで今回は、カンガルーケアについてお話しします。
カンガルーケアの歴史
1979年、当時コロンビアは経済危機に陥っており、新生児医療への予算がなく、感染症で亡くなったり、育児放棄される赤ちゃんがたくさんいました。それを減らそうと首都ボゴタにあるSan Juan de Dios Hospitalで働く2人の医師によって始められたのが“カンガルーケア”です。
当初は、極低出生体重児(出生体重1,500g未満の赤ちゃん)を対象に、ママの胸の間で裸の皮膚と皮膚を接触させるものでした。日本では、1995年に極低出生体重児におこなわれたのが最初で、2000年以降になると、出生直後のカンガルーケアが正期産の母子の場に拡大しました。
カンガルーケアは危険?
生まれたばかりの赤ちゃんは、外の世界に適応しようと呼吸をして、心臓を動かして、体温をコントロールして……と、一生懸命です。どんなに元気に生まれてきた赤ちゃんでも、生まれてすぐ、特に2時間くらいはとても不安定と言ってもいいでしょう。
そのような赤ちゃんがカンガルーケア中に状態が悪くなり、最悪死亡するケースが見られ、カンガルーケアの危険性についての議論が高まりました。このため、産科病棟でおこなわれるカンガルーケアはNICUでおこなわれるカンガルーケアとは異なるケアであるとして、「早期母子接触」と名称を変更し、ガイドラインも作成されました。
早期母子接触のメリット
早期母子接触にはいろいろなメリットがあります。まず赤ちゃんは、ママと密着することで泣いている時間が減り、心拍数や呼吸数、体温などが安定します。そしてママの皮膚の常在菌が赤ちゃんに移動することで免疫力も高まります。
一方、ママは赤ちゃんへの愛着が高まり、母乳哺育が促進されたり、育児への不安を和らげるといった効果があります。