冬の嘔吐下痢はアルコール消毒じゃ効かない!感染を防ぐには?【3児ママ小児科医が解説】
こんにちは、東京衛生病院小児科の保田典子です。私生活では7歳、5歳、4歳の子育て中です。
胃腸炎で代表的なものはロタウイルス、ノロウイルス。ロタウイルスはワクチンの普及でだいぶ少なくなってきたなと感じますが(入院するのも小学生が多いです)、年間約80万人が罹患します。一方ノロウイルスは、3歳以上になると保険適応外のため検査をしないことも多いですが、検査をするとノロウイルスだった……ということも多いです。
ロタウイルスにしてもノロウイルスにしても、家族内感染を防ぎたいですよね。1人の看病だけでも大変なのに、他のきょうだいも……なんて事態は避けたいですし、看病しているママやパパが感染してしまうと、本当に大変です。今回は、感染を防ぐためにできることをお伝えできたらと思います。
まずは、感染経路を理解しよう!
感染症はその細菌やウイルスにより、感染するパターンが違います。多くの風邪は接触・飛沫感染です。空気感染というのは、同じビルにいるだけで感染してしまうことがある怖い病気ですが、それは麻疹や水ぼうそうくらいしかありません。
胃腸炎は、主に接触感染で感染します。家での感染パターンは、嘔吐や下痢を直接触ってしまう、嘔吐が飛び散ったものに触れてしまう、トイレで感染する(多いのはドアノブを通じての感染です!)が多いです。触るといっても、目に見えるほどうんちが手についてしまった訳ではなくても感染します。
胃腸炎ウイルスは、手などについたウイルスが口から入ることによって感染するので、とにかく手を口に持っていかないことで感染を大幅に予防できますよ。感染経路がわかると、そこで注意するようになるので、トイレのあとは念入りに手洗いしなくちゃ、となりますよね。
おむつ替えのときは手袋をするのがとても有効です。
「アルコール消毒が効かない」って本当?
アルコールは、消毒剤としてとても有名で有効ですが、アルコールが効きにくいウイルスがあります。ウイルスの形によりアルコール抵抗性が決まるのですが、ノロウイルスやロタウイルスという胃腸炎のウイルスは、悲しいかなアルコールがとても効きにくく、長時間アルコールを使わないと消毒の効果がありません。
つまり、日常生活でアルコールを使っても、胃腸炎のウイルスには効果がないのです。