意外と知らない!赤ちゃんの耳掃除。耳の外に出ている耳垢をとれば十分?
赤ちゃんが生まれたら、いろいろと気になるのがお世話の方法です。毎日するお世話のなかで、今回は耳掃除について解説します。意外と知らない正しい耳掃除の方法や耳掃除の回数など赤ちゃんの耳掃除の参考にしてください。
赤ちゃんの耳掃除は必要?
本来、耳には耳垢を溜めないように耳の外へと耳垢を排出する自浄作用があります。大人もちろんですが、赤ちゃんのころから自浄作用があるので、基本的には耳掃除はしなくても良いのですが、耳の穴が小さい赤ちゃんは自浄作用がうまく働かないことがあります。耳の穴が小さいと耳垢を外へ排出できないため、耳垢が溜まってしまうのです。耳の奥に耳垢が溜まってしまう赤ちゃんには、定期的に耳掃除をする必要があります。
ただし、耳掃除の方法によっては耳垢をとるどころか詰まらせてしまったり、赤ちゃんの耳に傷をつけてしまうこともあります。
それによって、赤ちゃんの聞こえ方に支障が出たり、体調にもかかわってきたりするので、安易に耳掃除をするということは避けたほうが良いでしょう。耳掃除のしすぎは耳垢の皮膚保護作用がなくなることもあるので注意です。
間違った耳掃除が赤ちゃんに悪影響を及ぼす!?
ひとえに耳掃除といっても、赤ちゃんの耳掃除は意外と難しいものです。耳の穴が小さい赤ちゃんの耳掃除をする際に綿棒を使うと、耳垢を奥へ奥へと押し込んでしまいます。
耳垢が溜まってしまうと聞こえが悪くなったり、耳の中で細菌が増えて炎症が起こるリスクが高くなります。逆に耳垢が気になって耳掃除を頻繁におこなうと、耳の穴の中を傷つけてしまったり、外耳炎を起こすこともあります。
赤ちゃんの耳掃除は、赤ちゃんが急に動くことがあるので、綿棒が耳の奥まで入り過ぎて怪我をすることもあります。出血や痛みだけでなく、聞こえ方にも影響する可能性がでます。
鼓膜を傷つけてしまった場合には、聞こえ方が悪くなり、自然治癒にも数カ月かかることもあります。さらに、自然に穴が塞がらないときには、手術が必要です。
耳の奥には聴覚だけではなく、味を感じる神経や体のバランスを保つ神経、表情をつくる神経がありますので、もしこれらが傷ついてしまうと、難聴に加えて味を感じない、めまいやふらつき、顔の表情が半分だけ作れないといった後遺症が残ります。耳掃除も方法を間違えると赤ちゃんに悪い影響を与えてしまうことがおわかりいただけたでしょうか。耳掃除の正しい方法や回数などを意識しておこなうことで、これらのリスクを回避することができます。
赤ちゃんの耳掃除は耳鼻科で
もしも、赤ちゃんの耳の奥に耳垢を見つけた場合には、無理に自分で耳掃除をしようと思わないでください。また、耳掃除をしていて赤ちゃんの耳を傷つけてしまったときや、綿棒の先の部分が外れて耳の中に落ちてしまったときには、耳鼻科受診が必要です。耳掃除だけで耳鼻科を受診することに抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ怪我をしてから受診をしたのでは遅いのです。
赤ちゃんがしなくてもよい怪我を未然に防ぎましょう。
自宅で耳掃除をする場合はどうすればいい?
自宅で赤ちゃんの耳掃除をするなら、基本的には耳の外へ出てきた耳垢を取る程度で十分です。耳かき棒は硬くて耳を傷つける恐れがあるのでやわらかい綿棒を使ってください。綿棒を使用する前には、先が外れやすくなっていないか確認しておきましょう。耳垢を奥へ押し込んでしまう可能性があるので、できるだけ綿棒を挿入しないほうが良いのですが、必要があるなら耳の入り口から1cm程度までにしておきましょう。それより奥の耳掃除がしたいときには、耳鼻科で掃除をしてもらってください。
耳掃除の頻度ですが、掃除をしなくても耳垢が溜まることはないので、赤ちゃんの耳掃除は必要があるときのみで良いです。自浄作用が十分でないために定期的に耳掃除をするのなら1カ月に1回程度とし、多くても2週間に1回までにしておきましょう。
まとめ
赤ちゃんの耳掃除は定期的におこなう必要はありません。耳掃除によって怪我をするリスクもあるので、耳掃除の際には使うものや方法など気をつけましょう。自宅で耳のケアをおこなっていても耳垢が溜まるようであれば、耳鼻科を受診して耳掃除をしてもらってください。
また、耳鼻科でば耳垢の治療をしてもらうだけでなく外耳道がもともと狭い子がいるので診察を受けたり、必要があれば聴力の検査をしたり、鼓膜に水がたまってないかをみてもらうことも目的の一つです。じょうずに耳鼻科を活用しましょう。
<参考>
国民生活センター「油断しないで!耳掃除」(1.事故情報の概要、2.医師のコメント/耳掃除の怪我で起こることとその対処)
監修者:医師 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長 松井 潔 先生
愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医
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