2021年12月17日 12:30
「まずお礼だろ!」産後に父から怒りの電話が。孫に会えないジレンマが生んだトラブル<孤育て取材>
東京オリンピック直前の時期。いつから会えるのかなんて、誰にもわからなかった。感染拡大防止を考えると、地方に暮らす高齢の両親を気軽に自宅へ招くわけにもいかない。確実な約束ができないまま退院を迎えた。そんな最中、両親からLINEが来た。
「明日の午前中着で、差し入れのご飯を送ります」
この後、些細なすれ違いから誤解が生まれ、あき子さんと父との間に歪みが生まれた。気持ちを急かしたのは、「孫の顔が見られない」という両親のジレンマからだった。
突然の電話で怒鳴り声!孫にも当たり散らして呆れ果て
「受け取ったらまず電話!お礼だろ!そんな電話もできないのか!」
電話に出た途端、怒鳴り声が耳に響いた。
父の声だった。
母がクール便で送ってくれた手料理を食べていた時だった。母が「会えない代わりに」と煮物や漬物、炊き込みご飯など、愛情たっぷりの手料理を送ってくれたのだ。産後のあき子さんにとって、最高のプレゼントだった。
しかし配送業者とのタイミングが合わず、午前着の荷物の受け取りが最終の夜8時に。大好きな「ばあばの手料理」を心待ちにしていた長女(3歳)はもう腹ペコ。届いた料理をすぐに温め、「たくさんあるね」「おいしいね」と家族で温かい食卓を囲んでいた矢先、父からの電話が鳴ったのだ。
謝っても父は聞く耳を持たなかった。
「さっき荷物を受け取って開けたばかりで。時間が遅いからまず食べようってことになって……」と説明しても、怒りは収まるどころか、孫にも飛び火した。
「じいじ、ありがとう」と言った娘に、「ありがとうじゃねえ!」と語気を強めて言い放った。
「娘は『どうして?』と驚いた様子で、しゅんとなっていました。父は元々難しい人なんです。ちょっとしたことでへそを曲げるような。でもあそこまで頑固だとは。娘にまで怒るなんて初めてでした。
普段はLINEでのやり取りだけだったので、久しぶりの電話でした。なのにいきなり怒鳴られて……とてもショックでした」とあき子さんは振り返る。
壮絶な出産を経て退院、通院、子育て……置かれた現状をわかってくれない
あき子さんの第2子出産は波乱万丈だった。予定日より数週間早く破水して緊急入院。そして入院先のトイレで産気づいて、個室の鍵が開けられず一人で出産した。