「嘘ついた瞬間、私が替わる」と迫ると「わたし不倫しちゃいましたぁ」泣いて夫に告白する女。そして…
夫・マサハルが「若い子が好き」と友人に聞かされてから、若作りに励むカナデ。しかし、朝帰りや香水の匂いから浮気を疑い尾行をすると、夫は若い女との「ダブル不倫」に溺れていることが判明します。さらに「不倫部屋」となっている専用アパートを突き止めました。スマホに並ぶ自分への悪口に、カナデは復讐を決意します。
まずカナデは、かつては厳しかった義母にあえて歩み寄り、お気に入りとしてかわいがられる存在になって味方につけました。そして「新居への引越し祝いのサプライズ」と嘘をついて義母を不倫部屋へと連れ出します。そこで夫と不倫相手に鉢合わせさせ、ここが浮気現場であることを暴露しました。
開き直る夫に対し、激怒した義母は得意の護身術で息子をねじ伏せます。
カナデのやさしさを知った義母は、息子の裏切りを許せず、カナデの前で何度も土下座をして謝罪しました。カナデは夫に迷うことなく離婚と慰謝料を突きつけ、身勝手な主張を繰り返す夫を冷たく突き放します。
さらにカナデは、震え上がる不倫相手に対し「あなたの旦那さんは、まだこのことを知らない」と告げました。一瞬、バラされずに済むと期待した不倫相手でしたが、カナデは鼻で笑い、「今この場で、旦那さんに電話して全て自分から告白しなさい」と命じます。「嘘をつくなら私が代わりに話す」と逃げ道を完全に塞がれた不倫相手は、絶望のあまりその場に崩れ落ち、泣き叫びます。
「お金を払うから許してください」と懇願する不倫相手に、カナデは……!?
不倫女が泣き叫んで夫に告白した内容は…
観念したように、不倫相手は涙を流しながら電話をかけ始めました。
「あ、あなた……? わたし……わたし不倫しちゃいましたぁ……」
電話が繋がった瞬間、倫相手の涙は堰を切ったように溢れ出しました。カナデは腕組みをしたまま、冷静に倫相手の様子を見守っていました。
「ごご……ごめ……」
不倫相手は嗚咽を交えながら、不倫の詳細を夫に話し始めました。詳細を告白するたびに、倫相手の声は震え、涙が止まらなくなっていきました。
罪の意識が一気に押し寄せてきたのでしょう。自分が何をしてしまったのか、どれほど夫を裏切ったのか。その重みが彼女を押し潰そうとしていました。
「うわああああん!!」
ついに女性は声を上げて泣き叫び始めました。電話を握りしめたまま、激しく泣きじゃくっていました。
カナデは動じることなく、その光景を見下ろしていました。
「お電話替わりました……」
カナデは静かに言いました。
◇◇◇
不倫相手の女性が、自らの口で夫に真実を告白しました。カナデさんに迫られてのことではありましたが、自分の行為を言葉にすることで、女性は初めて罪の重さと向き合うことになったのではないでしょうか。
楽観的な態度でいられたのは、現実から目を背けていたからかもしれません。電話口で夫に告白することで、自分が何を壊してしまったのか、ようやく実感したのだと思います。
不倫は多くの人を傷つける行為だと改めて気づかされます。配偶者はもちろん、家族全体、そして不倫をした本人自身さえも。この不倫相手の涙は、失ったものの大きさに気づいた瞬間の切実な後悔だったのでしょう。
取り返しのつかないことをしてしまったと気づいたとき、人は初めて本当の意味で自分の行為と向き合うことになるのだと、深く考えさせられますね。
著者・イラスト制作者:マンガ家・イラストレーター 加藤 かと 著者:原作者 スカッと春香!