「実家が乗っ取られた!?」出戻った弟夫婦が、父親を追い出した→父の秘策で弟は後悔するハメに!?
私は実家を出て、他県で働いていました。母はずいぶん前に亡くなり、実家には年老いた父がひとり。弟は、とある事情で出ていったきりでした。
実はうちの弟にはギャンブル癖があり、よく借金を作っていました。そんなとき弟は勝手に実家のものを売り払って、返済に当ててしまうのです。母の思い出の嫁入り箪笥から私の大事なヴァイオリンまで……。金目のものなら何でも容赦なく売り、私たちはそのつど裏切られた気持ちになって落ち込んだものでした。
そんな弟もちゃんと大人になったようで、これからは父親の面倒をみると言って実家に戻ってきたそうです。
しかも奥さん付きで! びっくりしました。本当に大人になったのだとしみじみ思いました。
もう家族のことは、特に父のことは絶対裏切らないでほしいと、弟には念押ししたのですが……。
父が家を出た!?
義妹にあいさつがしたいと思い、私は久しぶりに帰省。すると、家には誰もおらず、父にも連絡がつきません。弟に連絡をすると衝撃的な事実を告げられたのです。「父が持ち家から出ていった……」と。また弟が何かやらかしたのではないかと、不安がよぎりました。
弟は「父が家は弟に譲ると言って出ていった」というのですから、よっぽどのことがあったのでしょう。そして弟には「実家はもう自分のものだ、帰ってきても入れないぞ」と言われました……。
やっと父と連絡が取れたとき、父は実家近くのボロアパートにいました。
「お父さん、弟夫婦に家取られたって本当?」
「なんで黙って言うこと聞いたの?!」
焦る私とは対照的に、父は落ち着き、笑って言うのです。
「いいんだよ、あいつらどうせすぐ後悔するから」
父には秘策があるよう。ポイントは、古い実家と怖がりの弟だと言うのです。
幽霊屋敷におびえる弟夫婦
実家は古く、建て付けが悪くなっていました。あちこち修理が必要なので、父はそろそろ売却か駐車場にするか考えていたよう。
そんな家を利用して、父は弟夫婦を脅かす仕掛けを施したのです。自然に開くようになってしまったドアやどこから聞こえるのかわからない雨漏りの音……。またわざとネジや栓をゆるめたりして不具合が出ててくるようにしてきたとのこと。そのことを私に告げた父は笑っていました。
1カ月後、弟は予想通り私に泣きついてきました。