新生児聴覚スクリーニングとは?検査内容や費用はどんな感じ?
病院によって異なりますが、生まれた赤ちゃんに音が聞こえるか検査することを新生児聴覚スクリーニング(聴力検査)と言います。新生児聴覚スクリーニングは、早期に難聴を診断することで、難聴の原因や治療、リハビリテーション(補聴器等)をスムーズに導入することができるようになります。今回は、妊娠中のママが知っておきたい新生児聴覚スクリーニングについてお話ししていきます。
新生児聴覚スクリーニングとは
先天性疾患の中でも聴覚障害である難聴の発症頻度は高く、患者数は1,000人に1~2人とされています。新生児におこなう聴力検査の「新生児聴覚スクリーニング」は、聴覚障害を早期に診断できます。
日本では、先天難聴児の約半数が家族歴や胎児期の感染症等が原因で発症することから、これまでは難聴の家族がいる新生児や子宮内感染などの影響で聴覚障害を合併する可能性の高い新生児を対象に新生児聴覚スクリーニングをおこなうのが一般的でした。
しかし、新生児聴覚スクリーニングの対象を限定してしまうと、全例の聴覚障害診断できません。診断が遅れると、言葉の発達の重要な時期を逃したり、早期に適切な援助を受けたりできないケースが増える可能性があるため、近年は全ての新生児に検査をおこなうことがよいとされています。
ただ、新生児聴覚スクリーニングは任意の検査のため、費用がかかるので検査を受けない赤ちゃんもいます。日本産婦人科医会がおこなった平成28年度の実態調査によると、新生児聴覚スクリーニングを受けているのは約87%となっています。
新生児聴覚スクリーニングの内容、検査のタイミング、費用
新生児聴覚スクリーニングは、ささやき声ぐらいの大きさの音を赤ちゃんに聞かせ、左右の耳の反応を見て聴力が正常かを診断する検査です。ただ、病院で新生児聴覚スクリーニングをおこなうには保護者の同意が必要です。保護者がスクリーニング検査に同意すると、自動聴性脳幹反応(自動ABR)もしくはスクリーニング用耳音響放射(OAE)のいずれかの方法で検査がおこなわれます。
<自動聴性脳幹反応(自動ABR)>
ABRは、左右の耳から音を聞かせ、脳における電気的な反応の有無をみる方法です。これまでは赤ちゃんが眠っているタイミングに防音室でおこなう必要がありましたが、自動ABRであればベッドサイドでも検査ができ、ささやき声くらいの小さな音の刺激に対する反応が見れるので、軽度の難聴でも早期に発見できます。