妊娠中の蕁麻疹はどうして起こる?対処法と注意点は?
他にはステロイド外用剤で皮膚の発疹を抑える治療があります。蕁麻疹に限らず、掻き続けて湿疹になってしまった部分や引っ掻き傷についても、ステロイド外用剤を使うことがあります。ステロイドと聞くと胎児への影響を考えて、薬を使うことに抵抗がある妊婦さんも多いかもしれません。しかし、蕁麻疹が長期的になると症状も悪化してしまい、治療自体も長期に及ぶことになります。ステロイド外用剤がどうしても気になるという場合は、抗ヒスタミン外用剤も選択肢のひとつです。医師としっかり相談して、納得した上で治療を受けましょう。すでに使用している内服薬や塗り薬があれば、お薬手帳などを持参して受診してください。
蕁麻疹は強いかゆみを伴うので、寝ている間もかゆくて目が覚めたり、無意識に体のあちこちを掻いていたりしてしまいます。
掻く状況が長期間続くと皮膚が炎症を起こし、色素沈着(しきそちんちゃく)といって皮膚が茶色く変色してしまい、跡を治すのに時間がかかってしまいます。跡を残さないためにも早めに対処をして、しっかり治しきることが大切です。
妊娠が原因の蕁麻疹は、出産すると蕁麻疹は出なくなり、症状が改善することが多いのが特徴です。なかなか症状が良くならなければ、授乳中でも使える内服薬はあります。産後は治療薬の選択肢が広がって、蕁麻疹を治しやすくなるので安心してください。
その他の妊娠中の皮膚のトラブルとは
蕁麻疹と間違えやすいものとして、「妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)」があります。
蕁麻疹と似て、強いかゆみがあるので区別がつきにくく、妊娠によって発症する皮膚疾患のひとつです。妊娠性痒疹は、出産後には症状が自然に改善されます。
妊娠性痒疹は、妊娠初期から中期に発症することが多く、地図状に広がる蕁麻疹とは異なり、体や腕、足などにポツポツとかゆみを伴う発疹が出てきます。痒疹は赤くなっていたり、水ぶくれになっていたりと見た目にもさまざまですが、引っ掻くことによってしばしば表面が傷ついている状態になります。
この妊娠性痒疹は、約20%の人が家族や妊婦自身にアトピーの体質があるという報告(※1)もあります。痒疹になってしまうと、治すのもかなり時間がかかってしまいます。まずは掻かないことが大切です。必要があればかゆみ止めの内服薬を使うことがありますが、主にはステロイド外用剤で治療することになります。