ポートランド発! 子どもたちのココロを育む「Bento」文化
生きた食べものをとろう
そしてもうひとつ、田村さんがこだわったのは「生きた食べものを届けたい」ということでした。
「いきいきと新鮮な食べものは、食べたときに身体にプラスになるエネルギーを持っていると思うんです。食べるということは、生きた植物や動物の命を頂くことですから、目の前の食材に感謝する気持ちも生まれてきます。地元のとれたての野菜や、自然な環境で育てられた鶏、牛、豚。それらは自然食がもつ、食べもの本来の美味しさを持っていますよね。
そういう食べものを、できれば子どもたちにも届けたいと思うんです。とくに子どもたちにとってアレルギーの原因となりがちな卵は、自然なものを選ぶようにしています。
鶏がどんな餌を食べているか? 餌や育つ環境によって身体への影響も違ってきます」
子どもたちのココロを育む、Bento文化を見直そう
田村なを子さんがレストラン「Chef Naoko」で提供しているのは、素材にこだわり、手間ひまかけた和食キュイジーヌ。Bentoと呼ばれるお弁当ランチには、色とりどりの野菜やおかずが詰められて、ポートランドっ子にも人気です。そこには子どもを持つママたちにもヒントとなる美味しさがあります。
「調理でこだわっているのは、手間ひまかけることを惜しまないということ。だしをとる、というのは和食の基本ですが、例えば野菜の煮物、卵焼きにも、だしを使って作ることで作り手の気持ちが伝わります。
日本のお母さんたちも、昔からそうやって子どものお弁当に手間をかけることで、気持ちを伝え、子どものココロを育んできたのではないでしょうか。
とくに子どもたちは身体が繊細ですから、言葉にしなくても五感で感じるものがあるはずです」と田村さん。
もちろん忙しいママにとって、お弁当に手間ひまかけるのは大変! かもしれませんが、ちょっと工夫すれば、だし取りは簡単です。
前日の夕飯時にちょっと多めにだしを取り冷蔵保存しておけば、翌朝のお弁当にも活用できて便利ですよね。
そして何より、色とりどりのおかずをバランスよく詰め込んだお弁当は、日本ならではの食文化。ママたちも、シェフのようなこだわりをもって、お弁当アートを楽しんでみてはどうでしょう。懐石弁当にインスパイアされた、ポートランド発のBentoは目にもおいしい。
「料理は作る人から食べる人へのメッセージ。子どもたちの口福と健康を願って、お弁当作りを楽しんでみては」