© beeboys - Fotolia.com
思春期は子どもとぶつかることが多く、とても大変な時期。それゆえ、とかく目の前の反抗的な子どもをどうしたらよいかとばかり考えがちです。でも、私たちは、反抗期のその先の子どもの姿についても知っておかなければなりません。思春期が終わると同時に、親にとってはもっとつらく感じる「子離れ」の時期が待っているのですから。
■子育て期=母親の人生でもっとも素晴らしい時間
何かにつけ反抗してばかりの思春期。早くこの時期が過ぎてほしい…と願うのは、どの親も同じでしょう。でも、子どもたちは思春期が終わったら、どのように変化していくのでしょう。思春期を越えた子どもたちは、もう「1人の大人」という立場で、親と接しようとします。
そんなわが子を見て、あなたはきっと「ここまで成長したか」と感慨深く、そしてうれしく思うことでしょう。でもその一方で、つらい気持ちも感じるはずです。
子どもを育てることは実に苦労が多く、無償の愛で続けていかなければならない大変な仕事です。でも、子どもが与えてくれる親としての幸せは、ほかのどんなものにもかないません。子育て期というのはいわば、母親の人生でもっとも素晴らしい時間と言えるはずです。
しかし、そんな素晴らしい時間は永遠には続きません。子どもは成長していき、思春期を迎え、そしてある時急に、親から離れていく日が来るのです。
■親から離れていく思春期後の子どもたち
親子の別れは、人間にだけあるのではありませんね。
むしろ、人間以外の動物の離れ方のほうがはっきりしています。そして決定的に違うのは、あるとき急に離れていくのは、子どもではなく親のほうであるということです。
「もうこの子はちゃんと自分の力で餌をとったり、自分を守ったりして過ごしていける」というところにまでわが子が成長したとき、親はきっぱりとした態度で子どもを自分のそばから追い出そうとします。子どもにとっては突然のことで、何が何だかわかりません。ですから、親がどんなに自分を追い払おうとしても、必死に近づいて行こうとします。
それが何回も続いて初めて、自分はもう親と一緒に過ごせないのだと悟り、名残惜しそうに親を見つめながら、新たな自分の住処を探しに出ていくのです。人間以外の動物の世界では、親子の間でこのようなことが行われています。
これに対して人間の場合、最初に離れようとするのは子どものほうです。
ここでちょっと、自分が思春期を終えようとした頃を振り返ってみてください。親から離れていくとき、人間以外の動物の子どものように、「離れたくない」という気持ちが起こったでしょうか。たいていは、大したことではなかったとか、特に心に感じるものはなかったと思い出せるでしょう。
これは、人間の本能に関係しています。人間には本能的に「成長したら親から離れていくもの」ということが、脳に刻み込まれているのです。したがって、思春期を終えた子どもたちが親から離れていくことは、必然的なことと言えるのです。
<後編に続く>
【年齢別】人気ドリルからタブレットまで! 「ひとりでできて、夢中になれる」教材まとめ