お食い初めは何をするの? どんな準備が必要? そんな疑問にお答えする、お食い初めの基礎知識をまとめました。
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赤ちゃんのお世話で忙しいなか準備するのは大変かもしれませんが、お食い初めはみんなで赤ちゃんの成長をよろこべるいい機会です。
ここでは正式なやり方からパパママの負担を減らすちょっとした工夫まで、幅広くご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
お食い初めってどんな儀式? どんな意味があるの?
お食い初めとは、「赤ちゃんが一生食べ物に困らないように」「いい歯が生えてくるように」といった願いを込めて、赤ちゃんに食べ物を食べさせるまねをする儀式です。
歯が生えてくるくらいまで赤ちゃんが無事に成長したことをお祝いする意味もあります。
乳歯が生えはじめる生後100日前後におこない、「百日祝い(ももかいわい)」「真魚初め(まなはじめ)」「歯固め(はがため)」「箸ぞろえ」「箸祝い」などとも呼ばれます。
お食い初めのやり方は地域によってことなるので、ご自身の地域ではどういった慣例があるのか、実母や姑などに確認してみるといいでしょう。
ここでは、一般的な例をご紹介します。
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お食い初めをする時期は? 準備はいつからする?
お食い初めは赤ちゃんの生後100日目におこなうのが一般的ですが、地域によっては110日目や120日目におこなうところもあるようです。
生後100日の数え方は、生まれた日を1日目としてカウントします。赤ちゃんが生まれて何日になるのか、改めて数えてみるといいでしょう。
お食い初めの準備は、まず日程を決めるところからはじめましょう。生後100日頃が基本ですが、ぴったりその日でなくてもOKです。気候や赤ちゃんの体調、予防接種などの予定、後で説明しますが招待する人(祖父母など)の予定も考慮して計画しましょう。
だいたいの日程が決まったら、お祝いの料理に必要な食材やグッズのリストアップをしてみます。
すぐに入手しにくいものもあるので、1ヶ月~2週間前くらいに手配を始めると安心です。
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お食い初めの献立は「一汁三菜」が基本
お食い初めで赤ちゃんに食べるまねをさせる「祝い膳」は、どんなメニューでしょうか? 献立に込められた意味と合わせてご紹介します。
祝い膳の献立は、「一汁三菜」が基本です。具体的には次の5品を用意しましょう。赤ちゃんは食べるまねだけなので、大人用の味付けで構いません。
【1】焼き物
「めでたい」の意味を込めて、尾頭付きの鯛が一般的です。地域によっては地元の魚やエビなどを使うこともあります。
尾頭付きは家庭用グリルに入らなかったりきれいに焼けなかったりするので、魚屋さんで焼いてもらってもいいでしょう。
形だけのものなので、小さな鯛でもOKです。お祝い用に焼いたものを通販してくれる便利なショップもあります。
【2】赤飯
赤色には邪気をはらう、魔よけの意味があることから、赤飯が一般的です。白飯や栗ご飯を使うこともあります。手軽な缶詰のあずきや赤飯セットなども売られているので、利用すると便利です。
商店街の和菓子屋さんなどは頼むと人数分の赤飯を炊いてくれるお店も多いので、この機会に地元のお店を利用してみるのもおすすめです。
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【3】お吸い物
ハマグリのお吸い物が一般的です。「吸う」力が強くなるようにという願いが込められており、ハマグリには魔よけや「いい人と巡り会えるように」の意味もあります。
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【4】煮物
昆布、レンコン、たけのこ、大根、ニンジンなどの煮物が一般的です。昆布は「よろこぶ」、レンコンは「先を見通す力がつくように」、たけのこは「まっすぐ育つように」といった意味が込められています。
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大根とニンジンで紅白の彩りを添えると、お祝いらしくなります。煮物は少量だと作りにくいので、筑前煮にして大人も一緒に食べるといいでしょう。
【5】香の物(漬物・酢の物)
季節の漬物や酢の物が一般的です。「しわができるまで長生きするように」の願いを込めて、梅干しを添えることもあります。
お祝いごとなので、ニンジンと大根で紅白なますにしてもいいでしょう。秋はニンジンの代わりに柿を使ったり、アレンジを楽しんでもOKです。
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お料理以外に準備するもの 食器・歯固め石
お料理以外に準備するものはおもに2つ。食器と歯固め石です。
・食器
漆器の祝い膳を使うのが正式です。一般的には、男の子なら内側も外側も朱色、女の子なら外側が黒で内側が朱色に塗られたものを使います。
お箸は柳の白木で両端が細くなっている「祝箸(いわいばし)」を使うのが正式です。お宮参りのときに神社から贈られることもあります。
正式な漆器は高価なうえ、お食い初め以外で使うことは少ないので、最近では普段使いできるベビー用食器セットやレンタルのセットを使うご家庭も増えています。
・歯固め石
歯固め石は、お食い初めの最後に「赤ちゃんに石のような丈夫な歯が生えますように」と願いをこめておこなう「歯固めの儀式」で使う小石です。
小石の入手の仕方は、お宮参りのときに神社からいただく、氏神様の境内や近くの河原で拾ってくる、通販などで購入するといったパターンがあります。拾う場合には、儀式で使うまえによく洗い、熱湯消毒しておきましょう。
歯固め石の個数は1、2個が一般的です。大きさは1~5cmくらい、形は丸いものや角ばったものなどさまざまです。地域によってもことなります。
また、歯固め石の代わりに固い栗や梅干し、紅白もちなどを使う地域もあるようです。
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お食い初めはどこでやる? 招待するべき人は?
お食い初めの場所はどこでも構いません。
参加する人やパパママの都合に合わせて、赤ちゃんの自宅、実家や義実家、祝い膳を用意してくれる料亭やレストランなどでおこなうことが多いようです。
最近は「お食い初めプラン」を提供しているホテルもあるので、祖父母が遠方などの場合は利用すると便利です。
招待する人にも決まりはありません。昔は親戚や親しい人を集めておこないましたが、最近では両親と祖父母などの家族だけでおこなうことがほとんどです。
お食い初めのときの服装は?
正式には、お食い初めのときの赤ちゃんには色付きの小袖(着物)を着せます。これは「色直し式(いろなおししき)」という儀式で、生後100日まで白い産着を着せていた赤ちゃんに、初めて色の付いた小袖を着せるというものです。
最近は小袖までは用意しないご家庭も多いですが、タキシード風のロンパースやフリルのついたスカートなど、赤ちゃんにちょっとよそゆきの服装をさせてあげると写真などでも記念になっていいでしょう。
大人の服装は、自宅でおこなう場合は普段着が多いようです。レストランや料亭の場合は、ジャケットやワンピースを着るなど、正装まではいなくてもきちんとした装いを意識しましょう。
お食い初めと一緒に記念撮影もおこなうなら、大人も正装がおすすめです。
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お食い初め儀式のやり方と順番って?
お食い初めの儀式で赤ちゃんに食べさせるまねをする役割は、「養い親」がするのが正式です。養い親とは身内の最年長者で、「長寿にあやかる」という意味があります。
ですが、最近は祖父母や両親がおこなうのが一般的です。男の子なら男性、女の子なら女性が、赤ちゃんをひざに乗せて1品ずつ食べさせるまねをします。順番は次のとおりです。
ご飯→お吸い物→ご飯→焼き物(魚)→ご飯→お吸い物
これを3回繰り返してから、最後に「歯固めの儀式」をおこないます。歯固め石に箸の先を軽く触れて、その箸で赤ちゃんの歯茎をちょんちょんとタッチします。「石のように丈夫な歯が生えるように」と願いながらおこないましょう。
儀式が終わったら
お食い初めの儀式が終わったら、お祝い膳は大人が食べてOKです。自宅に祖父母を招く場合は、お寿司の出前など大人の食事を手配しておくと、準備の負担が少なくて済みます。
歯固め石は、拾ってきた場所や氏神様の境内に、感謝の気持ちを込めて後日お戻ししましょう。最近は記念として手元にとっておくご家庭も多いようですが、それでも構いません。
お食い初めはママや赤ちゃんの負担にならない範囲で
お食い初めのやり方について、基礎知識から取り入れやすい工夫まで幅広くご紹介しました。いかがでしたか?
お食い初めの時期は、ママの身体はまだまだ産後の回復途中ですし、育児の疲れもたまってくる頃です。儀式を「すべて完璧にやらなくちゃ」とこだわりすぎず、ママや赤ちゃんの体調、予算などに合わせてできる範囲でおこなうといいでしょう。
迷うことがあったら、姑や実母や親戚に相談してみてください。
おばあちゃんたちは「世代によって育児の考え方や常識は違うみたいだし」と口出しを遠慮していることが案外多いもの。伝統的な儀式なら、「私の出番!」とばかりに喜んで協力してくれるはずです。