■子どもを「枠の中」に押し込める大人は、子どもの敵だった?
楢戸:諦めているわけです。「学校なんて、しょせん、そういうところなのだから」と。
木村:小学校のときにそう思いながら、乗り越えられたの?
楢戸:ただ、ただ、「自分は
ダメな人間だ」と思いながら、小学校に6年間通いました。
木村:「学校なんて、そんなもん」と思ってしまうのは、卒業したあとの価値観でしょ? 小学校生活を送っている6年間は、「何で、こうなんだろう」「学校って、おもしろくない」の繰り返しだったわけでしょ?
楢戸:いえ、実際にはもっとダメで。私は「先生の言うとおりにできない自分がダメ」と思いこんでいました。
木村:自分が経験したことを、もう1回、自分の子どもにさせたいの?
楢戸:そこが大きなジレンマで。「させたくない」。それが本音です。
けれども、親としては「世の中で生きていくためには、
フォーマットの中にいれないと」という気持ちにもなってくるんです。
木村:こういう考え方をする大人が、一番、子どもの敵なの。「普通にやってきた自分」が、
異質なものを排除する。その差別する感情を自分自身が持っていないか、省みなければ。
■自分の中の「排除される要因」を隠せない子が生きにくい世の中
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楢戸:「自分は、排除されないようにしよう」。これが、いまの世の中にはびこる空気だと思っています。どんな人の中にも「排除されるようなもの」は、必ずある。でも、自分の中の「排除されるようなもの」を隠さなければいけない。
そんな圧力があるのかな、と。
木村:それを隠せる子は、いいの。隠せない子が、
「育てにくい子」とか発達障害と呼ばれる子になるわけでしょ? 隠せない子が生きにくい世の中でしょ? でも「隠せる子」は、「隠すことで」生きている。そんな世の中、みんなにとって間違っていますよね。
楢戸:そうだとは思います。でも、一方で「今日、うちの息子が、学校で迷惑をかけている」という現実もあります。そういう
現実と理想の間で、ひとりの母親として戦っていると感じているんです。
木村:卵が先か、鶏が先かの話。
息子さんが幼稚園の段階で、楢戸さんの価値観が変わっていたら、息子さんはいま、通常の学級で学んでいたかもしれないですよ。
次回は、「自分の子どもがうまく育っていないと劣等感を感じているママへ」 です。
【木村先生がママたちに伝えたい20のこと】
1.
学校の授業で正解のあることなんて、1時間も教えていない
2. 「普通にやってきた自分(ママ)」が、
異質な子どもを排除しようとしている
3. 自分の中にある「排除される要因」を
隠せない子が、生きにくい世の中になっている。でもそんなの間違っている
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