医学が発達していなかった時代、1歳になることが大変だったことから、初誕生日は人生の節目のお祝いとして大切に行われていました。地域によっては初誕生日に一升餅を担いだり、家族、親族が集まり、みんなでお祝いをしました。おじいちゃん、おばあちゃん世代には、このしきたりを大切に思っている人も少なくないでしょう。おじいちゃん、おばあちゃんにも喜ばれる1歳の初誕生日のお祝いの方法と、しきたりの由来についてご紹介します。
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個人の誕生日を祝う、この習慣は近年のことです。今は年をとるのは、生まれた月日ですが、戦前までは年をとるのはお正月でした。
今は、満年齢で数えますが、数え年で年齢を数えていた時代は、生まれたときがもう1歳。それ以降は元日ごとに皆、一斉に年を重ねていったのです。
例えば12月30日にうまれた子どもは二日後の元旦には、もう2歳になるのです。
大晦日の夜を「歳取りの晩」という謂れです。今のように個人ごとの誕生日をお祝いする風習はありませんでした。
一升餅を担ぐしきたりと由来
赤ちゃんが一生食べ物に困らないようにという意味と一生円満な人生が送れるようにという願いで、一升の餅米でついた丸餅(一升餅とも力餅とも言います)を作ります。餅米の一升を子どもの一生にかけて一升餅と呼ぶのです。
地域によって、風呂敷で包んで、赤ちゃんに背負わせて歩かせようとしたり、餅踏みと言って大きな鏡餅を赤ちゃんに踏ませるしきたりがあります。
初誕生日はいつ何をするべき?
お餅を背負わせるだけでなく、うまれて初めて迎える誕生日に神社にお参りして草鞋などを履いて、力餅(一升餅)を踏むことによって足からお米の霊力が貰えて、しっかり大地に足を下ろして生きていける人間なれる事を願う儀式をする地域もがあります。
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初穂料の用意がいりますが、神社に問い合わせをしておくとよいです。何事も準備が大切なので、初誕生日の2~3か月前には問い合わせておきましょう。
神社でなくてもお家にお客様を迎えてお祝いをしてもよいのです。
赤ちゃんが無事に1歳を迎えられたことに感謝して、親戚や仲人さんを招待して、このように無事に育っていますよということのお披露目する行事です。
皆さんの都合も聞いて初誕生日ジャストにするか、それより前にするか決めておきましょう。遅れるのはよくありません。
■「選び取り」のしきたりとは
一升餅を用意しますが、地域によっては、「選び取り」と言って子どもの将来を占うこともします。
筆やそろばん等を用意して何をとるかで子どもの将来を占うのです。基本的には、そろばん(商才がある)、筆(文芸の才)、お金(財布・富豪の才)ですが、そろばんのないお家も多いと思いますので電卓でもよいと思います。
昔は、女の子には物差しや針箱を並べていました。マイクなども置いておくと芸能界に行くようになるか占えますね。
筆もないうちが多いと思います。万年筆など尖っていない安全なものを置いとくことをおすすめします。お子さんにこういう道に進んでもらいたいという夢があったらそれに関する物をおくのもよいでしょう。
何故お餅を背負うの? どうやって背負うの?
子どもの名前や「寿」という字を書いた一升餅(食紅で書くので食べられます)を背負わせるのは、色々な困難が持ち受けている人生に力をつけても貰いたい、そうすることで食べ物に一生困らず、一生丸いお餅のように円満な人生を送れるようにという願いが込められました。
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1歳の誕生日に2キロ近くの重さを背負わせることで、子どもに一生の人生の重みを感じてもらう意味もあったようです。
風呂敷に包んで赤ちゃんに背負わせますが、首に巻かないように、肩から反対の脇の下に通すように斜めに背負わせます。リュックでもよいのですが、肩ひものやわらかいものを選んでください。
マチも広めのものがよいです。リュックを嫌がるようでしたら無理に押し付けないようにしてください。無理に背負わせて、それからリュックに拒否反応を起こすお子さんもいるようです。
■わざと転ばせるしきたりも
さて、一升餅を背負ってトコトコあるく赤ちゃんに親が餅を投げつけたり、わざと突き倒して乱暴なことをすると聞いたことがありませんか。
赤ん坊に魂の象徴でもある一升の丸餅を背負わせた状態で転ばせるということは、赤ん坊がハイハイをして過ごした頃の古い魂を体から転がり出させて、これから二本足で歩く、新しい魂の力を身につけさせようとしている、立ち歩きに際しての魂入れ(たまいれ)のお祝いとも考えられていたようです。
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初誕生日のお祝いとしきたり
両親が中心になって祖父母や両親の兄弟姉妹など招待して、バースデイケーキや初誕生の記念に色紙を用意して赤ちゃんの手形や足形などもとると良い記念なります。
勿論、写真もとって皆さんに一言、書いてもらいましょう。写真だけより言葉が書き添えてあった方がよい思い出になります。とくに、このころのことは、子どもの記憶にないので子どもにとって宝物になると思います。
初誕生日の思い出
私も子どもの初誕生の時は、自分で子どもの好きなイチゴケーキを作り、一本のローソクを用意しました。子どもがケーキを吹き消している写真が、今でも宝物です。
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また、ケーキを食べた後、子どもが初めて5~6歩、歩いたのです。数十年前ですが昨日のことのように覚えています。
「這えば立て、立てば歩めの親心」というように親は子どもの成長が本当愉しみですね。ご両親の気持ちも子育てすることでわかるようになるのではないでしょうか。親孝行をするようになったのも子育てをするようになってからでした。
これから、オムツをとるなど躾も始まります。
また、事故も多くなり目が離せません。
あせらず、ヒステリックにならず、ゆったりとした気持ちでお子さんと接してください。子育て大変ですが、一生続くわけではありません。
人生の中のホンの短い期間です。
思いやりの心をもって、笑顔で、明るく、愉しんでください。写真やその時の書き残した言葉が、生きた証、良い思い出になると思います。