連載記事:水の事故から子どもを守る!
水の事故の危険は通学路にも? どこで、なぜ起きるのか【水の事故から子どもを守る! 第1回】
全国的に暑い日々が続く中、川遊びや海水浴、など水に触れ合う遊びがめじろ押しの夏休みが始まりました。しかし、毎年水の事故で死亡したり、行方不明になったりする子どもは後を絶ちません。
また西日本豪雨など、大雨によって起こされる災害では、普段安全な場所も危険なエリアとなってしまう可能性があります。なぜこのような重大な事故が起きてしまうのでしょうか。
水の事故でこれ以上悲しいニュースが起きないようにするために、今回は、水の事故が起きる理由やどういった場所で事故が多いのかなど、水難学会会長で長岡技術科学大学・大学院の斎藤秀俊教授に話を聞きました。
水難学会とは
「ういてまて」を中心とする水難救助を推進し、また「誰もが水難から生還するにはどうしたらよいか」の答えを出すために学問として普及することで、水に親しむ社会の発展に寄与することを目的として設立。
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■水の事故は、「通学路」でも起きている
――とくに子どもが遭いやすい水の事故はどのようなものですか。
まず、子どもだけで行動して水の事故に遭う場合と、大人がいる場合と、2パターンあります。
そして、それぞれに遭いやすい事故というのは変わってきます。
・子どもだけなら、近くの川や側溝で起きる事故が多い
・大人がいると行動範囲が広がり、海で起きる事故が多い
という傾向にありますね。じつはプールでは、近頃事故はめっきり少なくなりました。
――子どもだけで事故に遭ってしまう理由について聞かせてください。
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最近よく起きているのは、用水路や側溝で流されてしまうという事故です。その多くが
通学路で発生しています。
普段は水が流れていない用水路や側溝が、雨水がたくさんたまっていると、その中に子どもが足を入れて遊んでしまうんですよね。それが平らなところであれば、水の流れも強くないので、とくに何も起きません。
しかし、坂道にある場合には流れが強くなり、足をとられてしまいます。こうしたところでは、秒速1メートル程度の速さとなることが多くあります。これはウォータースライダーよりも速いのですから、予想以上に流れは速いと思っていただきたいです。
――子どもたちだけで川に行って起きる事故はどのようなものが多いですか。
川の構造として、浅いところが続いていても、
急に深くなることがあります。プールに慣れている子どもたちは、一般的に徐々に深くなっていくと思っているので、そういった川の構造が理解できにくく、また上から見てもわかりにくいんです。
そうするといきなり深みにはまってドボンと沈んでしまいます。そのとき沈みやすい垂直の姿勢だと、そのまま上がってくるのは至難の業です。
さらに、「助けて!」と叫んで手を挙げてしまうと、ますます深く沈んでしまうのです。
その後1人目が沈むと、2人目が「どうしたの」と言って近づいてきて沈み、3人目も同様に沈んでしまうことがあります。川で子どもたちだけで事故に遭ってしまうと、3人くらいが同時に亡くなってしまうことが多いのです。