さらしおんぶは赤ちゃんの安全第一で!
いつ起こるかわからない自然災害。先日の西日本豪雨でも大きな被害が出ましたが、近年は都市部の局地的豪雨も頻発しています。かわいいわが子を守るために、
日頃の備えは万全にしておきたいですね。
防災グッズは
身近なもので代用できることが多いですが、実は
「さらし」もそのひとつ。戌の日の安産祈願で腹帯としてもらった人もいるのではないでしょうか? 昔ながらのさらしは、かなり使える
防災グッズでもあるんです。
■万能アイテム!災害時のさらし活用術
防災グッズとしてのさらしの使い道はいろいろありますが、「さらしで子どもをおんぶできる」ことだけでも知っておくと、ママはとても心強いと思います。
もちろん使い慣れた市販の抱っこ紐やおんぶ紐があればよいのですが、非常時には手元にないことも多いもの。たとえば、赤ちゃんと外出中に大きな地震があったらベビーカーに乗せたまま避難するのは危険ですし、歩ける子でも余震やはぐれる心配があれば、歩かせるよりおんぶや抱っこのほうが安心。
小学生くらいでも割れたガラスで足をケガするなどして、おんぶが必要になることもありえます。
さらしを携帯し、さらしおんぶの方法を覚えていれば、災害時にも心強い
また、集中豪雨で道路が冠水したら、小さな子はずぶぬれになったり転んだりしてぐずってしまう可能性大。安全に歩かせるのはなかなか困難です。こうしたとき、さらしをおんぶ紐にできれば、素手でおんぶするよりはるかにラク。両手があくので避難しやすく、大人とぴったりくっつくことで子どもに安心感も生まれます。
さらに、災害時にさらしががあると以下のようないろいろな使い方もできます。
<さらしの使い道の一例>
・止血するための包帯
・布おむつ、布ナプキン、下着の替え
・手ぬぐい、タオル、雑巾
・肩掛けやひざ掛け
・高いところから避難するロープ、命綱
・暖をとったり、料理をしたりするための燃料
■さらしを使ったおんぶの仕方をマスターしよう
いざというとき、安全にさらしでおんぶするには、正しいおんぶの仕方・おろし方を知り、事前に習得しておくことが大切。非常時に急にやろうとしてもママも焦ってしまうし、赤ちゃんが初めての高さや姿勢にぐずってしまう可能性もあります。
書籍『おんぶで整うこころとからだ』の詳しいおんぶの仕方を参考に、ぜひ試してみてください。
●おんぶの仕方
さらしでおんぶをするよさのひとつが、親と子が同じ目線になれること。背中に背負うときに理想の高さにしておくのがポイントです。
さらしをそれぞれの肩にかけるとき、前屈みになりすぎると、赤ちゃんが頭から落下する危険があるので注意。
両脇にきたさらしをハの字にきゅーっとしっかり引っ張ると、赤ちゃんがずりずり落ちてくるのを防げます。
残ったタレ(端)は結び目のところにかませると、避難のときもジャマになりません。
本には、おんぶのおろし方や抱っこの仕方も載っています。さらしは、おんぶだけなら4メートル程度でもOK。抱っこもするなら4.5メートルくらいあると使いやすいそうです。
■+αのアイテムでママバッグを防災バッグに!
さらしを使ったおんぶの仕方を覚えておけば、近くにさらしがないときも、ワイシャツ、カーディガン、ズボン、ストール、麻紐などで代用することができます。
ただ、さらしはかさばらないのもメリットなので、できれば普段使うママバッグに入れておくといいですね。ママバッグの中身は赤ちゃんの月齢や子どもの年齢によって変わってくると思いますが、普段のものに少し+αするだけで
子どもの命をつなぐ防災バッグにもできます。ミルクやおやつ、おむつ、着替えなどの定番グッズ、そして前述のさらしに加えて、たとえば次のようなものを加えておくと災害時に役立ちます。
・ヘッドライト…災害時は停電することも。おんぶと同じく両手が空くので便利
・レインウェア…普段使い用に完全防水防風のよいものを準備
・厚手の断熱シート…普段はおむつ替えシートに、いざというときはマットに
・ペットシーツ…赤ちゃんから大人まで緊急トイレとして使用可能
普段のママバッグをベースにすれば、緊急避難用に新たなバッグを作るよりカンタン。この機会にいつも使っているママバッグの中身をもう一度確認してみませんか。
非常時におんぶや抱っこをすることは、避難しやすいだけでなく、
子どもを安心させることにもつながります。また、さらしを使った高い位置でのおんぶには、子どもの好奇心を満たしやすいというメリットも。普段の暮らしにも取り入れながら、さらしおんぶを習得してみませんか。
参考書籍:「おんぶで整うこころとからだ」(駒草出版/1404円税込)
日本では遠い昔から脈々と受け継がれてきたおんぶ育児。親と子どもの目線が同じで、赤ちゃんが「安心して世界を見渡せる」ぴったりおんぶの方法とその効果を紹介。
ほかにも、おむつなし育児(おむつをつけながらもなるべくおむつ以外のところで排泄させること)を通した「赤ちゃんとの向き合い方」、推拿整体師や助産院院長との「ママの幸せ」についての対談も収録。本書籍の印税は全額未来を担う子どもたちを支援する団体各所に寄付されます。
著者:松園亜矢
新潟県出身。京都外国語大学卒業。5児の母。長男を妊娠中に乳児と楽しいコミュニケーションがとるおむつなし育児と紐一本でおんぶ、抱っこができることを知り、実践。以降、5人の子どもたちをさらしおんぶとおむつなし育児で育てる。おんぶ仲間を増やしたい思いから、おんぶ講習会を行ったり、周囲の要望を受け「おむつなし育児のお話会」などを実施。
※さらしを使ったおんぶ・だっこの仕方は正しい方法で、安全に配慮してお使いください。