子どもの自己肯定感「ほめて伸ばす」は正しい? わが子を“自信満々の自己中”にしないために
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「自己肯定感を持つのは大事」という言葉を、最近はよく耳にするようになりましたね。確かに「自分ならできる」という自己肯定感は高いほうが好ましいと私も思います。
けれど、自己肯定感だけを高めていくと、
「自分は完璧な人間だ」と錯覚し、できない自分を認められず、周りの人や環境のせいにしてしまう…という別の弊害が生まれてしまうこともあるとご存じでしょうか?
わが子がそうならないために、子育てにおいて自己肯定感と同じく大切に考えていきたいのが
「自己受容」。今回は、自己肯定感と自己受容の違い、それぞれの高め方について考えていきましょう。
■「できる」自己肯定感、「許す」自己受容
最近、よく耳にすることが多くなった「自己肯定感」という言葉。この
自己肯定感とは一体、なんなのでしょうか?
例えば、子どもが逆上がりができないとしましょう。その子が自分に対して、「今はできないけど、たくさん練習すればできるようになる!」と思えること、それを自己肯定感といいます。
「自分はできる!」と感じる自己肯定感に対して、自己受容は「とび箱は得意だけど、逆上がりができない…。
でも、まあいいか」と自分に対して思えることです。それはつまり、できない自分でもありのままに受け入れられる、
許せる感覚といえるでしょう。
■「わたしのせいじゃない!」アンバランスな自己肯定感
ここで大切なのが、
自己肯定感と自己受容のバランスです。
たいてい問題が起きるのは、自己肯定感だけが高い場合。自己肯定感がいくら高くても、自己受容が低い人は、「自分はすべて完璧」「失敗するなんてありえない」と、できない自分を認められません。すると、失敗やトラブルの原因を周囲の人や環境に押しつける、
自分大好き人間になってしまいます。
皆さんの周りにもいませんか? どこからくるのか分からない自信にあふれているけれど、いざ失敗すると「ダメだったのは、きっとあの人(もの)のせいだったんだ」と、すべて
自分以外に押しつけてしまう人。
自己肯定感は、あくまで自己受容の土台の上に成り立つことで、初めて価値があるとイメージすると分かりやすいかもしれません。
自己受容は低いままに、自己肯定感だけが高まっていくと、「できないのは自分じゃなくて他人のせい」「自分はいつでも特別で、なんでもできる完璧な存在」と過信し、ますます、
できない自分を受け入れられなくなってしまうのです。