連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】子どもの咳が止まらない! 受診のタイミングや治療法は?<パパ小児科医の子ども健康事典 第8話>
咳は子どもには頻繁に起こる症状で、咳込んだり眠れなかったりして見ていてつらいものです。子どもが咳込むとき、家でしてあげられることは? 受診のタイミングは? と悩むことも多いのではないでしょうか。今回はそんな咳の症状や改善方法について解説します。
咳をする仕組みって何??
まず咳の仕組みはどのようなものでしょうか。息を吸うと空気が口や鼻から入って、のど、気管を通って肺にいきます。この通り道を「気道」といいます。
イラスト:ぺぷり
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気道に細菌やウイルス、タバコの煙やアレルギー物質、食べ物などの「異物」が入ってくると、それらを外に出そうとして「咳反射」が起こります。
食事中にむせると咳が出ますが、これは異物としての食べ物が気道に入ってくることで反射的に咳が出ているのです。
このように咳は異物を外に出すための生理的な反応といえます。
咳の原因って何??
では、咳の原因にはどんなものがあるでしょうか?
基本的には、気道を通る異物すべてということになります。主な原因は以下です。
感染症による咳
いわゆる風邪(上気道炎)は気道にウイルスや細菌が侵入して咳を引き起こします。また鼻水がでてきて、のどに垂れ込んでくることでも咳を起こします(=後鼻漏:コウビロウ)。自分で鼻をかむことができない子どもたちにとって、後鼻漏は咳の原因として大きなものです。また風邪により痰がからんでくると、それを出すために生理的な反応として咳がでます。
誤嚥(ごえん)による咳
食べ物や唾液が気管に入ってしまうことで咳を引き起こし、ときに肺炎を起こすこともあります。
胃食道逆流(いしょくどうぎゃくりゅう)による咳
胃液の逆流により胃液が気道に入って咳を引き起こします。食後や、仰向けの態勢で逆流は起こりやすくなります。
気管支喘息による咳
もともと気道が過敏な状態であるために、アレルギー物質やタバコの煙などの気道に入ってきた刺激に対して咳が出やすい状態になっています。
受診のタイミングは? 咳で困ったときの判断基準
ではこのような場合受診のタイミングはどうすればよいでしょうか? 緊急性のあるものとそうでないものがありますが、以下のような呼吸困難を伴うものは緊急性があり、早く受診したほうがいいでしょう。
百日咳
とくに3ヶ月未満の赤ちゃんはまだ予防接種をうけていないため重症になりやすいです。コンコンコンコンと連続的に咳をして、顔を真っ赤にして苦しそうにヒューっとうなります。※1 動画参照
仮性クループ
のどの奥のほうにある声門の下が腫れるもので、犬が吠えるようなケンケンした咳を特徴として、呼吸困難を認めます。※2 動画参照
一方、風邪の咳は1~2週間ほどで落ち着くことが一般的で、緊急性はないのですが、それ以上続く場合は肺炎や喘息など他の原因が隠れている場合があり、受診したほうがいいでしょう。
肺炎の有無の確認にはレントゲン撮影が必要です。咳の特徴としては気管支喘息の場合、日中はそれほどでなくても朝や早朝、運動後などに咳き込むことが多く、肺炎など感染症によるものは、日中と夜の咳のギャップは少ない傾向です。…
では治療はどのようなものがあるでしょうか。
気管支喘息や百日咳、クループなどは病気ごと個別の治療があり受診が必須ですが、一般的な風邪の咳の治療であれば、ご家庭でできるものもあります。風邪の場合、咳をして異物を出すことで自然に治っていきますから、必ずしも病院で咳止めをもらわなくていいと考えます。
咳にはさまざまな治療がなされますが、医学的には「一定の効果があるもの」と「効果が乏しいもの」とが混在しているというのが現状です。以下にまとめてみました。