受診するか、しないか…その目安は?
受診するかしないか迷った時は、脱水傾向があるかどうかが目安になります。つまり、水分がとれずぐったりしている、尿が少ない、口がかわいている、などの症状です。脱水の症状があれば、点滴が必要になる可能性があるからです。
逆に言えば、脱水の心配がなく水分がとれているようであれば、無理をして受診をしなくても家でしばらく様子をみてもかまわないでしょう(注:医師により判断は異なります)。
もちろん不安だったり、ほかの病気の心配があれば受診したほうがベター。ただ、ある程度元気で、脱水の症状が出ていなければ、ホームケアで自然と治っていく病気であるといえます。
一番こわい脱水症状を防ぐ「吐き気がある時の水分摂取」
イラスト:ぺぷり
ポイントは症状が強い数日間、ここをいかに経口補水でしのぐかです。
よく、おう吐するから飲ませないと考える場合があるかもしれませんが、おう吐して水分が少ない状態でさらに経口摂取を絞れば、すぐに脱水になってしまいます。
飲ませ方には、ちょっとしたコツがあるので、以下の手順ですすめてみてください。
脱水症状を防ぐ水分の取り方
1.おう吐直後はすぐまたもどしてしまうので、水分は飲ませないほうがいいでしょう。30分くらい時間をあけます。
2.吐き気がおさまったタイミングで、水分を一度口に含ませてみてください。スプーン1さじでかまいません。
3.1さじ飲めたら、2さじ、3さじと段階的に様子をみながら水分量を増やしていきます。
吐かない程度に少量づつ体に水分をいれていけば、脱水を予防できます。
※もし、1さじも受けつけない、数さじでもおう吐するようであれば、病院での点滴を考えたほうがいいでしょう。
飲ませる水分は、アクアライト(アサヒグループ食品)など乳児用イオン飲料や、オーエスワン/OS-1などの経口補水液がいいでしょう。
ナトリウム(電解質)や糖分が入っていないと、血液中のナトリウムが少なくなったり、低血糖によって倦怠感(けんたいかん)を感じたり、時にけいれんを起こす可能性があります。飲み物はできる限り、電解質や糖分を含むものにしてください。
経口補水液が飲みにくいという場合、軽症であればりんごジュースなどと半々で割って飲みやすくしてから与える方法もあります(※)。
家族への感染を食い止める! 予防法とホームケア
親が感染すると看病を含め2倍、3倍のしんどさになります。
下痢、おう吐の処理は手袋をして、可能であればビニールエプロンを使って感染対策をしてください。
寝具におう吐すると後片付けが大変なので、ペットシーツなどをしいておくのも一つの方法です(我が家も一度ひどい目にあいました…泣)。
子どもがおう吐しそうになったときすぐに受けることができるよう、洗面器やボウルにビニールをかぶせておくと便利です。もし出かける場合はおう吐に備えて、紙袋+ビニール袋や、着替え(親の分も)、手をふくウェットティッシュなど用意しておくことをおすすめします。
予防には、手洗いが基本です。できるだけ流水でウイルスを洗い流しましょう。ノロウイルスは飛びやすいので、いろいろなところに付着しているため、ほかの人がさわる可能性のあるところは極力さわらず、どこかさわったあとは手を洗うようにしてください。
アルコール消毒は効果が乏しいので、ハイター(花王)といった次亜塩素酸ナトリウム配合の商品で除菌するのがおすすめです。ドラッグストアにはノロウイルス対策と書いていても、成分がアルコールという場合があります。
買う時の参考にしてくださいね。
参考資料
※ Effect of Dilute Apple Juice and Preferred Fluids vs Electrolyte Maintenance Solution on Treatment Failure Among Children With Mild Gastroenteritis: A Randomized Clinical Trial.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27131100