小さな“君”と歩んだ日々…母の日にこそ読み返したい号泣必至の名作『君の春』
■「私が君を守る」そう思っていたけど…母の手を離れて旅立つ君へ
いよいよ息子が家を出る引っ越し当日、息子と笑顔で別れる母親。
ガランとした子ども部屋に春の空気が流れ込み、やわらかくゆれるカーテンを見て、母親のまぶたの裏に浮かんだのは、小さな“君”を胸に抱いて、お昼寝をしたあの日の風景。
ほんのり暖かくて心地よい春の風、静寂の中やさしく響く飛行機の音、やわらかな光にゆれてキラキラ輝くカーテン、そして、甘い香りを放つ赤ちゃんだった“君”、そのすべての感覚がよみがえります。
やわらかな君の頬に自分の頬をすりよせて、愛おしさで胸がいっぱいになったあの日の気持ちも、
熱を出した君をたまらなく心配したことも、学校に出かける君を毎朝見送った日々も、すでに過ぎ去ったものばかりだけど、母親の胸に大切にしまっておきたい大切な宝物。
しかし、そんな切ない想いを胸に閉じ込めて、笑顔でわが子を送り出したいのも親心なのかもしれません。
「自分がいなければ…」と必死で育児に臨んだ時間のなかで、抱きしめたらすっぽり包み込めるほど小さかった君が、
歩き、話し、学び、自分の考えで自分の人生を選択し、いつの間にか大人になっていたことにあらためて気付かされる旅立ちの春。
当時、若すぎて知るよしもなかったわが子を見送る母親の心情が、気づけば自分自身のなかににじみだす…。
あのころ、言えなかった母親への「ありがとう」と育児の喜びを運んでくれたわが子への感謝の想いが交錯する、そんな温かくて切ない感情を呼び起こす季節が春なのかもしれません。
にしむらアオさん
自身の経験にもとづいて描いた漫画『君の春』がTwitterで大反響を得て、各メディアでも取り上げられ話題沸騰中!
●ツイッター:@nishimura_ao
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