連載記事:「ちゃんと失敗する子」の育て方
“良い大学”では生き抜けない時代。子育ての新しい道筋は?【「ちゃんと失敗する子」の育て方 Vol.1】
イラスト:まえだゆずこ
「
現在の教育は、なるべく失敗を避けて、効率的に生きることが良しとされている」と語るのは、
「花まる学習会」の西郡文啓(にしごおり ふみひろ)さん。
「完璧に正しい子育てなど、ありません」と話し、花まるグループ「西郡学習道場」代表を務める西郡さんは、「花まる学習会代表」高濱正伸さんの高校の同級生です。創立時から二人三脚でやってきて、初期の頃は、2人で牛乳配達をされていたこともあったそう。
そんな西郡さんに、
これからの時代を生きるために必要な力について、お話を伺ってきました!
西郡文啓(にしごおり ふみひろ)さん
1958年生まれ。熊本大学教育学部卒業。花まるグループ内に「子ども自身が自分の学習に正面から向き合う場」として「西郡学習道場」を設立。現在「官民一体型学校」として指定を受けた小学校「武雄花まる学園」にて、学校の先生とともに、小学校の中で花まるメソッドを浸透させていくことに尽力中。
「花まる学習会」とは
「数理的思考力」「読書と作文を中心とした国語力」に加え、「野外体験」を三本柱として、将来「メシが食える大人」そして「魅力的な人」に育てる学習塾。
代表は、数多くのメディアでも紹介された高濱正伸さん。
■子どもに求められる能力が変化してる!
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西郡さんは言います。「これから先、子どもたちが生きていく社会は、目まぐるしい速さで変化していくことでしょう」
人口知能(AI)の進化と普及は、人の働き方を大きく変えていくといわれています。今後10年~20年のうちに、今ある仕事の半分近くが、自動化によって代替されていくとさえ予測されています。
10年後は、どのような世の中になっているのか? それは、現時点では誰にもわかりません。
そんな
「変化が激しく、答えのない時代」を生きる子どもたちに対して、いま、親は子どもにどんな力をつけてあげれば良いのでしょうか?
■「受験に合格する力」では、生き抜けない
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「いまの学校教育が育てているのは、
“受験に合格する力”で、いわば“対策力”(知識を体系的に得る力)です」(西郡さん)
対策力というのは、「こういう問題が出るから、こういう勉強が必要だ」という、前提ありきの力です。しかし、2020年度からは大学入試センター試験が廃止され、新しい共通テストが始まることが決まっています。
大学入試そのものを、
“新しい時代を切り拓くための力”が身についていなければクリアできないものに変える。そうすることによって、高校以下の教育もその方向に向かわせる。今回の大学入試改革には、そうした狙いがあると考えられています。
■「良い大学」に変わる、新たな指標とは?
ママたちも、
「良い大学に入るための学力」と、
「社会で生きていく力」が、違うことには何となく気がついているはず…。でも、「良い大学に入れば、良い会社に入れて、良い生活ができる」という幻想を手放せるほど、明確に「次なる指標」は見えていません。
だから、つい、従来の「良い大学に行くために、テストで良い点を取れればそれでいい」という価値観に拠りどころとしてしまう…という堂々巡りを繰り返してしまっているのではないでしょうか?
でも、前述のとおり、「これからは、大学に入ることそのものにも、いままでとは違う力が求められるようになっていくのです」(西郡さん)