連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】熱性けいれん「パニックになる前に」正しい対処法2つ<パパ小児科医の子ども健康事典 第23話>
■「抗けいれん薬が効かない」熱性けいれん以外の可能性
イラスト:ぺぷり
診断が熱性けいれんであれば、後遺症を残すことはほとんどないものです。
けいれんをしている最中、有効な呼吸はできていないので脳は酸素不足になりますが、数分であれば脳への影響はないでしょう。
数分の熱性けいれんは自然に止まりますが、けいれんが5分以上になれば、自然に改善する可能性は低く抗けいれん薬の投与が必要になります(救急受診の目安が5分と指導されているのもそのためです)。
けいれんを起こした時点では何分続くかわかりませんし、初めての時は熱性けいれんかどうかもまだわからないでしょう。診察を受けて、全体をふりかえった結果、診断されます。
例えばインフルエンザにかかっている場合、インフルエンザ脳症ということもあるかもしれません。けいれんを起こしたら原則、受診してほしいと思います。
ひとつ、小児に多いけいれんで、熱性けいれん以外のものを紹介しておきましょう。
これはノロやロタウイルスなど胃腸炎にかかったときに起こす軽症胃腸炎関連けいれんです。発熱はなくてもけいれんを起こすもので、数分間の短いけいれんがあり、短時間のうちに反復します。
抗けいれん薬を使うと改善しますが、熱性けいれんとは治療薬が異なるため区別が大切です。熱性けいれんの治療をしても改善しないため、けいれんの時は下痢やおう吐があるかという情報も大事になります。
初めてけいれんをしている我が子を見たら、気が動転するのは当然です。救急車の中で涙を流しているお母さんもしばしばいらっしゃいます。
正直言って、私も医者になって初めてけいれんを見た時は焦りました。何度か経験しないと冷静になることは難しいでしょう。
突然やってくるその時に備えて、やるべきことを決めておくことが大切です。
まずは、誤えんしないように子どもを横向きに寝かせる、救急車を呼ぶ(小児科を受診する)の2つができれば大丈夫です。