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いよいよ妊娠9カ月に突入する妊娠32週目。妊婦生活もあとわずかとなり安心する一方、ますます大きくなったおなかを抱えてマイナートラブルに見舞われるころでもあります。
妊娠32週とはどんな時期であるのかを知り、少しでも快適に過ごせるように工夫しましょう。
【監修】
イシハラクリニック副院長 石原新菜 先生
小学校は2年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。
著書に、13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』(アスコム健康BOOKS)をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』(PHP研究所)等30冊を数える。
■妊娠32週の胎児の様子
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赤ちゃんの成長度合い
妊娠32週ごろの胎児は、体重1368~2243gにまで成長しています。平均体重は1805gです。体長は42~47センチ程度なのですが、なんとこれはパイナップルほどの大きさ! 赤ちゃんは、おなかの中でそれほど大きくなっています。
妊娠28週のときにピークを迎えた羊水の量が徐々に減ったことや、赤ちゃんがますます大きくなったこともあり、子宮内で赤ちゃんが動くスペースも狭くなってきます。
このころになると内臓の器官ができあがりつつあり、妊婦健診時のエコーでは心臓の弁が動いている様子が見られることもあります。
参考サイト:日本産婦人科学会「胎児計測と胎児発育曲線について」
皮下脂肪がつき始める
32週になると胎児には皮下脂肪が増えます。これによりしわがなくなり、ふっくらとした体つきに。皮下脂肪が増えたことで、ガラスのように透けていた赤ちゃんの肌もツヤのあるピンク色へと変化。
また、髪の毛やつめも伸びてくるので、胎児とはいっても、ほとんど新生児と変わらない見た目になります。
32週の壁とは? 早産のリスクと関係がある
妊娠27週から37週未満で赤ちゃんが生まれることを早産といい、もし32週の時点で出産した場合は早産にあたります。早産で生まれた赤ちゃんは、命の危険や合併症を起こす可能性も。
しかし、医療の発達によって助けられる赤ちゃんも増えてきました。一般的に出生時の体重が1500gあればリスクが少なく、2000gにもなれば正産期に生まれた赤ちゃんとほぼ変わらずに成長することが多くなってきました。32週の赤ちゃんの平均体重は約1800gですから、この例に該当します。
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しかし、在胎期間が短いとそれだけ小さく生まれるということ。早産で生まれた子どもが標準的な発育をしている子どもと同様に成長するまでには時間がかかります。
1歳の時点で追いつけるのは、32週未満なら21%、32週から37週未満なら69%です。誕生後の発育状況を考えると、同じ早産でも妊娠32週がひとつのポイントになるといえるでしょう。
早産の原因で多いのは、細菌性ちつ症や子宮けい管無力症です。妊婦健診で発見でき、治療すれば早産を防ぐこともできるので、リスクを減らすためにも2週間に1度の妊婦健診は必ず受けましょう。
参考サイト:厚生労働省「低出生体重児の訪問指導に関する研究 低出生体重児保健指導マニュアル~小さく生まれた赤ちゃんの地域支援~」