■妊婦が水分補給する時に気をつけたほうがいいこと
妊娠したら、水分をたっぷりとればOKというわけでもありません。体に刺激の少ない飲み物を、適切なタイミングでとることで、母体にも、おなかの赤ちゃんにも好影響を与えるのです。
ポイント1: アルコールはNG。カフェインも量に気をつけて!
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妊娠が発覚したら、まず避けるべきはアルコールです。ビールやワインなどのアルコール類は、赤ちゃんの成長や発達に影響を及ぼす危険性があるので、飲まないのが鉄則。同様の理由で、カフェインにも注意が必要です。
世界保健機構(WHO)では、1日に摂取するカフェインの量は300mg(コーヒーの場合2〜3杯)を上限としています。ただ、この300mgという数字はあくまでも目安であって、個人差があります。
おなかの中の小さな命のことを考えて、なるべく少量で楽しむようにしましょう。ちなみに、カフェインを多く含む飲み物には、コーヒー、紅茶、ココア、緑茶、ウーロン茶、コーラ、栄養ドリンクなどがあります。
参考サイト:
食品安全委員会「食品中のカフェイン」
厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」
ポイント2: 水分はとりすぎても大丈夫
前述のとおり、妊婦さんは1日に1.5〜2.5リットルの水分をとるのが理想ですが、この量よりとりすぎても問題はありません。逆に、むくみを気にして水分を控える人がいますが、「むくみ=水分のとりすぎ」というわけではないので、勘違いしないように。
ずばり、むくみの原因は塩分のとり過ぎです。むくみ予防に控えるべきは塩分であって、水分はしっかりとるようにしましょう。
ポイント3: 飲むタイミングも大事!
ただ、やみくもに水分をとればいいわけではありません。就寝前や入浴後など、適切なタイミングで水分を摂取することで、効率よく体内に吸収させることができるのです。ポイントは以下の4つ。
1)就寝前・起床後すぐ
睡眠中は皮膚や呼吸をとおして水分が失われ、血液中のミネラル濃度も高くなります。水分不足とミネラル濃度の上昇を防ぐためにも、就寝前と朝起きてすぐにコップ1杯程度の水を飲みましょう。
2)食事前後
食事前後に大量の水分をとると、胃酸が薄まり、消化不良などを起こす恐れがありますので、食前なら30分前までに、食後は3時間後ぐらいにそれぞれコップ1杯程度を飲むようにしましょう。
3)入浴前後
お風呂に入ると、体温の上昇で発汗し、体内の水分が蒸発します。入浴前後にもしっかり水分をとって、体内の水分不足を防ぎましょう。
4)気付いた時にこまめに飲む
普段何気なく生活していると、水分の摂取も忘れがちに。1〜3のタイミング以外にも、意識してこまめに水分をとることが大事です。
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妊娠後期に水を飲むだけで太る時は、飲まなくていの?
妊娠後期に入ると、ますます太りやすくなり、なかには水を飲んだだけでも体重が増える人も。太りたくないあまりに水分を控える妊婦さんがいますが、これは大きな間違いです。
水分は母体にもおなかの赤ちゃんにとっても大切な存在。こまめな水分補給は徹底しましょう。その代わり、普段の食事内容を見直したり、軽い運動を取り入れるなど、別の手段で過度な体重増加を防ぐのが賢明といえます。
■まとめ
妊娠生活を健やかに過ごすためにも、また大事なおなかの赤ちゃんのためにも、水分はとても大切なのですね。水分補給の方法は超シンプル! 水やノンカフェイン飲料を日々意識して飲むだけでOKなのです。
ぜひ今から実践してみてはいかがでしょう。
参考資料:
・食品安全委員会
・厚生労働省
・『はじめての妊娠・出産 安心百科』(主婦と生活社)監修 杉本充弘、木戸道子
・『初めての妊娠・出産』(ベネッセコーポレーション)監修 笹森幸文
・『すべてがわかる妊娠と出産の本』(アスペクト)監修
文/長谷部美佐