夫婦2人とも健康なら、子どもは自然と授かるもの…とは限りません。今や約6組に1組のカップルが不妊(
日本産科婦人科学会「不妊症」より)といわれています。
「もしかして不妊かも?」「2人目がなかなかできない…」「夫は大丈夫かな?」と感じたら、まずは専門医に相談してみてはいかがでしょうか?
今回は日本にわずか800人弱しかいない日本生殖医学会認定生殖医療専門医でもある、
桜十字渋谷バースクリニック院長 井上治先生に、不妊やその治療、不妊につながる生活習慣についてうかがいました。
教えてくれたのは…
桜十字渋谷バースクリニック院長 井上治先生医学博士。2005年、福岡大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院産婦人科医局入局。東京歯科大学市川総合病院をへて、2018年、桜十字渋谷バースクリニック院長に就任。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医、母体保護法指定。
>>桜十字渋谷バースクリニック 公式サイト
■女性の加齢と妊娠率の関係とは?
最近の不妊治療の傾向
「幅広い年齢の方が受診されますが、最近は、
結婚間もない若い方が早めに受診されるケースも増えましたね。妊活して2~3カ月とか、まだ妊活もやっていないけれど『心配だから…』と来院される方もいます(井上先生)」
井上先生は、若い方の受診増加傾向について、不妊治療に関する正しい情報が認知され、子どもが欲しい方の意識の高まりが影響しているのではないかと分析します。
「以前は、40歳を越えても治療さえすればすぐ妊娠できると思われて来院される方が多かったんです。でも、女性の場合、
加齢によって妊娠が難しくなるというのはデータ(下記グラフ参照)でも顕著に表れています。そういった情報が認知されて『何か不妊の原因があるなら、先に治療してしまおう』と考え来院される方が多くなっているのでしょう(井上先生)」
受診する年齢の目安は?
グラフでもわかる通り、不妊治療をしていても
35歳を境に、妊娠率の低下は加速します。
「35歳がひとつの目安となります。日本産科婦人科学会では、
『妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、1年以上妊娠しないもの』を不妊と定義づけています。これは、排卵検査薬などを使って排卵があることを確認し、一番妊娠しやすい日に性交するタイミング療法を取り入れての1年です。
しかし、妊娠には加齢が大きく影響しますので、当院では、
35歳以下なら1年、35歳以上なら6カ月、40歳を越えている方なら、できればすぐにでも受診していただきたいと考えています(井上先生)」。
■最近よく聞く不妊の原因は?
最近は、「2人目不妊」という言葉がよく聞かれるようになりました。「1人目はスムーズに自然妊娠できたのに、2人目がなかなかできない…」。その原因について、井上先生に伺いました。
「2人目ということで当然、
お母さんの年齢が上がっていますから、1人目の時より妊娠しづらくなります。女性の場合は、加齢による子宮筋腫や腺筋症なども増加します。また、
授乳中は妊娠しにくいことも挙げられるでしょう。男性の加齢も影響します。
それに加え、育児で忙しく、なかなかタイミングをとるのが難しいのではないでしょうか。2人目だから不妊になるというわけではなく、
加齢と育児による忙しさが原因だと思います(井上先生)」
若い男性の不妊傾向も
一方、最近の不妊の傾向として、男性が原因というケースが増えているそうです。
「最近は、最初から夫婦そろって検査にいらっしゃる方が増えていますが、男性側に不妊原因があるというケースが増えているように感じます。環境ホルモンの影響などといわれていますが、
若い男性で精液所見が悪い方も散見されます。逆に、女性の不妊傾向は今も昔もあまり変わりません。
しかし、ご夫婦両方を検査しても、実は
はっきりとした不妊の原因がわからないというケースが多いです。その場合は、治療をステップアップしていくことになります(井上先生)」
■あなたは大丈夫? 不妊リスクチェック
実は、日常生活で何気なくやっていること、あまり気にしていない症状が、不妊の遠因になっているかもしれません。
不妊に少なからず影響しているといわれる項目を、男女それぞれ井上先生に挙げていただきました。1つでも当てはまれば、不妊のリスクがあります。
この中で、当てはまるものはありますか?
【女性の不妊リスクチェックテスト】
□1. 年齢が35歳以上
□2. たばこを吸っている
□3. 仕事や育児で忙しい
□4. 運動不足
□5. 生理不順
□6. 不正出血や生理時の出血が多い
【男性の不妊リスクチェックテスト】
□1. 年齢が35歳以上
□2. たばこを吸っている
□3. 仕事で忙しく、睡眠時間が短い
□4. 運動不足
□5. サウナに頻繁に入る
□6. 携帯電話をズボンのポケットに入れたり、ノートパソコンを膝の上にのせて作業する
□7. 自転車やオートバイに乗ることが多い
女性の不妊リスクチェック解説
1.~4.は男女共通となります。「2. 喫煙」や、「4. 運動不足」は、万病の元といわれており、不妊にもつながります。また、「3. 忙しい」は、妊娠しやすい日に性交するタイミングがなかなか合わせられないことが不妊原因と考えられます。
「女性の『5. 生理不順』は、排卵日の予測が難しいため。タイミング療法を取り入れるには、
まず生理周期を整える必要があります。また、『6. 不正出血や生理時の出血が多い』というのは、筋腫といった
別の病気が隠れている可能性があるためです(井上先生)」
男性の不妊リスクチェック解説
一方、男性の「5. サウナに頻繁に入る」、「6. 携帯電話をズボンのポケットに入れたり、ノートパソコンを膝の上にのせて作業する」「7. 自転車やオートバイに乗ることが多い」が不妊の遠因となるかもしれないことに、驚いた人も多いのではないでしょうか。
「
男性の精子は熱や圧迫に弱いんです。ある研究によると、サウナや熱を発する携帯電話・ノートパソコン、サドルによる圧迫が精子に悪影響を及ぼす結果が出ています。精子はとても弱く、Wi-Fiにも影響されるという研究結果もあるくらいです。最近は、精子をチェックできるアプリもありますから利用してみるのもいいですね(井上先生)」
■「妊娠できるかな…」まずは気軽に受診を
不妊治療には健康保険が適用にならない治療もあるため、高額となってしまう検査や治療があります。しかし、所得や年齢、回数などに制限はあるものの、2004年から
特定不妊治療には国からの助成が受けられるようになりました。また、自治体でも助成金を給付しているところがあり、ハードルの高かった不妊治療が身近になってきました。
初診の内容は?
「当院は7~8割の方が不妊治療は初めてという患者さんなので、まず最初は希望をお聞きします。検査ご希望か、タイミング指導だけか、1人ひとりに合わせた治療をします。ただ、何か問題があって妊娠ができない場合もありますので、
検査をされたほうが安心だと思います。
初診時には、基礎体温表をつけているかどうか、排卵検査薬(排卵アプリ)を使っているかどうかなどをお伺いします。それも、つけていれば・使っていればなお良いくらいのお話なので、必須ではありません。まずは、ご相談にいらしてください(井上先生)」
「子どもは欲しいけれど、妊娠できるかどうか」といった漠然とした不安を抱えながら年齢を重ねるのは、妊娠率を下げることにつながります。少しでも不安があるようなら、まずは専門医に相談してみてはいかがでしょうか?
井上先生が院長を務める桜十字渋谷バースクリニックのご紹介
受付の様子
JR渋谷駅より徒歩約5分の好立地に、2018年開業した渋谷エリア唯一(※)の
不妊治療専門クリニック。
日本生殖医学会認定生殖医療専門医である井上治院長をはじめ、体外受精を数多く手掛けるクリニックで経験を積んだ培養室長など高い技術を持った医師・スタッフがそろい、胚(受精卵)へのストレスを最小限にした最新型培養器「タイムラプス」や培養液の工夫、卵子凍結技術の向上など、ソフトとハード両面で患者さんを支えています。
※2019年12月現在
左上:中待合/右上:会計待合/左下:リカバリールーム/右下:培養室
【住所】
東京都渋谷区宇田川町3-7 ヒューリック渋谷公園通りビル4階(
Google Map)
※JR山手線 渋谷駅 ハチ公口 徒歩5分/東京メトロ 渋谷駅 6番出口 徒歩4分
【診療日】
月~土 ※水土午後・日祝休診(
詳細はこちら)
【TEL】
03-5728-6626
渋谷バースクリニックを
公式サイトで見る
イラスト:グラハム子
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