英語が苦手でも大丈夫! 「ホームビジット」の達人に教わる、親子で外国人をおもてなしするコツ
■何を作ればいい? 手軽なおもてなし料理のアイディア
── ところで、料理は一体何を作ればいいのでしょうか?
楠さん:海外から来る方は、普段の生活を見たいので、普段食べているものなら何でも。ルーで作るカレーも日本独特なのでいいと思います。ただ「ラザニア」などあえてすごく洋風なものを作るよりは、少し日本っぽいものが喜ばれますね。
ただし、懐石料理をがんばって作る必要はありません。美味しい懐石料理やお寿司はお店でお金を払えば食べられるので、海外の方はそういうものを日本の家庭での食事に期待しているわけではないからです。
── すき焼きとか鍋はどうですか?
楠さん:鍋を囲む系は、食のスタイル自体が日本の家庭という感じがして喜ばれます。お好み焼きやタコ焼きも、受け入れる側も準備が楽だし、「一緒に作る」という体験ができるので人気です。一緒に作業することで、仲良くなるし、盛り上がれます。
巻き寿司を一緒に作っても喜ばれそう
── 些細なことですが、じか箸でもOKですか?
楠さん:それは日本人でも人によりますよね。説明すればいいと思います。「うちはこうやっているのよ」と言ったら外国の方も受け取り方はさまざま。「そういうものかな」という人もいるだろし、外国人だからこう、というものでもないと思います。
■質問は「仲良くしたい」という意図を伝えてから
── そのほかに、家に招くときに大事なことはありますか?
楠さん:日本人同士も同様ですが食事をするのであれば、事前に食べられないものは聞いておくと安心ですね。アレルギー、宗教上、好き嫌い、ベジタリアンなどの信条等さまざまな理由で食べられないものがあるかもしれません。
── 納豆や和菓子など苦手かもしれないものはどうですか?
楠さん:出されたものを食べたらあんまり、ということはあり得ます。出すもの全てが喜ばれるわけではないので、「日本の和菓子ってこういうものなのね。自分の好みではないな」と思われるかもしれません。ただ、それも含めておもてなしだと思います。
── 不安なことは全部聞けばいいですか?
楠さん:文化的背景が違う者同士なので、日本人同士だったらあえて聞かないことも確認します。その際に、「お互いに居心地よく過ごしたいから教えてね」「あなたと仲良くなりたいから教えてね」と質問の意図をしっかり伝えることが大切だと思います。
── 聞いてはいけない質問もありますか? 年齢や宗教は?
楠さん:日本人同士でも同様ですが、「あなたいくつなの? 」「宗教は何? 」と矢継ぎ早に質問するのは失礼ですよね。だけど、「友だちになりたいのであなたのことを知りたいんです」と伝わっていれば、「私は〇歳なんだけど、あなたは何年生まれ?」とか「これ食べられないって言っていたけれど、宗教上の理由?」など聞いてもいいと思います。
逆にあまりにも忖度して質問しないでいると「この人コミュニケーションをとりたくないんだな」と思われてしまいます。質問の際には「私のことも知ってほしい」と自分の情報を伝え、自己開示することも大切です。
── 最後に、トラブルを回避するために気をつけた方がいいことを教えてください。
楠さん:NAGOMI VISITではほとんどトラブルがないのですが、最初の頃は、「待ち合わせの時間に外国の方がすごく遅れてくる」というのがありました。慣れない土地での移動で、電車の乗り換えを間違えたりしてしまうようです。ですので、会う前にしっかり行き方などの連絡を取り合っておくことをおすすめしています。
あとは、NAGOMI VISITでは、会う前には住所を伝えず、最寄りの駅で待ち合わせるというルールを設定しています。初めての方を家に招く場合のリスク管理としています。
──ありがとうございました。海外旅行に行く機会がなくても、日本でも工夫次第で外国人との交流を親子で楽しめる時代。せっかくだから、親も楽しんで、子どもも国際感覚を身に着けたいですね。
●楠めぐみ(特定非営利活動法人NAGOMI VISIT代表理事)
大学の観光学部卒業後、訪日外国人旅行者向けウェブサイトにてインバウンドプロモーションの企画・提案に携わる。2011年に「世界中の旅人と食卓を囲むホームビジット」事業をNAGOMI VISITでスタート。ホームビジットは、その積み重ねによって日本全体を多文化共生社会へと動かす「てこ」になると確信し活動を続ける3歳の娘のママ。
動画で国際交流を学べる『はじめよう! 親子で国際交流』も2019年に開始。
参考:
『はじめよう! 親子で国際交流』
特定非営利活動法人NAGOMI VISIT
執筆・ まちとこ出版社 石塚由香子
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