連載記事:発達障害と診断された息子の中学高校生活
衝動的に欲しいものを買ってしまう…お金のトラブルを抱えがちな子どもへの金銭教育【発達障害と診断された息子の中学高校生活 Vol.3】
大学生となった次男の湧太は、小学校の頃、支援級に通っていました。今は支援を必要としていませんが、彼が家庭にいるうちに、できる限り様々なトライ&エラーをして欲しいと思っています。なぜなら、トライ&エラーで得る経験値は財産だからです。
今回は、生きていくための必須項目、
「お金との付き合い方」のトライ&エラーについて、我が家の事例を紹介します。
■発達障害があるとお金のトラブルを抱えがち
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発達障害があるとお金のトラブルを抱えがちであることは、多くの支援者が指摘しています。
【発達障害の特性があるがゆえに抱えがちな困りごと】
(1)衝動的に欲しいものを買ったり、やりたいことやってしまう
(2)見通しを立てるのが苦手なので、計画的にお金を管理するのが難しい
(3)予算に関係なく、好きなものには徹底的にお金を使ってしまう
幼い頃の息子は、(1)(2)が該当していました。「このままだとマズイかも!」と考え、金銭教育には力をいれることにしました。
■子どものお金の使い方をどうやって把握する?
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まずは、彼のお金の使い方を知るために、お金を精算制にしてみました。中高時代のおこづかいは3,000円。その他の必要経費は、「下記の精算用紙とレシートを提出すれば、後日精算します」という制度です。
母がエクセルで自作した精算シート
お金の使い方は、優先順位をつけることが必須です。そのためには、大きく3つの項目に分け考えます。緑はインフラ、黄色はコスト、グレーはクッションです。
【緑:インフラ】
生活をする上でのインフラとなる費用です。将来的には家賃、水光熱費、通信費などです。
中高生で考えると、
部活の遠征や塾に行く際の交通費、学校から塾に行く間の腹ごしらえや時間調整のために入るカフェ代をカウントしました。
【黄色:コスト】
生活をする上での、ランニングコストです。将来的には、食費、日用品といった生活費です。
中高生で考えると、
パンやおにぎりといったお弁当以外に食べる捕食代(中高生男子は、いつもお腹がペコペコです)、文房具代、書籍代などをカウントしました。
【グレー:クッション】
イレギュラーなお金のことです。将来的には、レジャー費、交際費などです。
中高生で考えると、
お友だちとの外食やレジャー費です。
クッション費については、「500円以上の部分」かつ「親が納得するようなプレゼンができれば」精算します、というルールでした。たとえば、休みの日に友だちと遠くに遊びに行った時の交通費や食事代を一部負担するといったところでしょうか。
この制度の良い点は、経費精算なので
「お金が足りなくなると、精算せざるを得なくなる」ということです。「精算用紙を提出すれば現金が手に入る」と脳の報酬系を刺激する仕組みを作ることで持続可能な制度となりました。
■息子の動きが透けて見える優秀な手がかり
思春期は、親子の会話の少ない時期です。「必要経費にするためのプレゼン」など、精算にまつわるアレコレが親子の大切なコミュニケーションになりました。
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精算は、ぐちゃぐちゃのレシートを広げるところから始まります
予想外の副産物として、レシートの優秀な探偵ぶりをあげたいです。息子が買い食いをしているレシートを見ることで、「こんなものを食べているんだ。この時間に、ここにいるんだ」と、息子の動きが透けて見えました。お金の流れは、本当に正直です。