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子どもとの会話が楽しくなる本!『翻訳できない世界のことば』『誰も知らない世界のことわざ』

あんふぁん
子育てや家事に忙しい毎日では、じっくり読書する時間がなかなか取れないですよね。私自身も最近読むものは、実用書や読みやすい雑誌が多く、本はほとんど買っていません。
そんなときにSNSで本好きの知り合いが紹介していて、その後書店で見つけ購入した本がとても楽しかったので紹介します。『翻訳できない世界のことば』と『誰も知らない世界のことわざ』の2冊です。

日常のあるある!をうまく表現、世界の言葉を集めた『翻訳できない世界のことば』


『翻訳できない世界のことば』では、タイトル通り、翻訳するにはちょっと長い説明が必要な世界のいろいろな国の言葉を紹介しています。

子どもとの会話が楽しくなる本!『翻訳できない世界のことば』『誰も知らない世界のことわざ』

『翻訳できない世界のことば』(エラ・フランシス・サンダース作、前田まゆみ訳、創元社刊)

たとえば
・「肌についた、締めつけるもの(靴下や時計など)の跡」=トゥル語(インド南西部の言語)で「カレル」
・「めちゃめちゃにもつれたケーブル」=ドイツ語で「カーベルザラート」
・「夫が悪いふるまいを妻に許してもらうプレゼント」=ドイツ語で「ドラッヘンフッター」

子どもとの会話が楽しくなる本!『翻訳できない世界のことば』『誰も知らない世界のことわざ』


・「迷子になり、だれかに道を教えてもらったが歩き始めたとたんに、行く方向を忘れた時」=ハワイ語で「アキヒ」
・「だれか来ているのではないかと期待して、何度も外に出て見てみること」=イヌイット語で「イクトゥアルポク」
・「シャツの裾を絶対にズボンの中に入れようとしない男の人」=カリブ・スペイン語で「コティスエルト」

子どもとの会話が楽しくなる本!『翻訳できない世界のことば』『誰も知らない世界のことわざ』


など。どれも日常でよくあることですが、あえて言葉にしたことがなかったり、説明が長くなりそうで話さなかったことだったりします。そんなときに、この言葉を知っていれば、「あ〜、うっかり寝てしまって腕にカレルがついちゃった!」「またテレビの裏がカーベルザラート状態に!」とか、「このケーキ、ドラッヘンフッターなんじゃないの?」と探りを入れたりと、日常で使ってみると、なんともおもしろい会話になります。
子どもは言葉にはとても敏感なので、「○○って、どういう意味?」と聞いてくることで、世界のいろいろな表現を知るきっかけにもなります。ちなみに、日本語の「木漏れ日」「わびさび」なども、本の中で紹介されています。

国ごとの文化や背景の違いを感じる、『誰も知らない世界のことわざ』


そしてもう1冊、『誰も知らない世界のことわざ』もなかなかおもしろいです。こちらは世界の風変わりなことわざをまとめています。

子どもとの会話が楽しくなる本!『翻訳できない世界のことば』『誰も知らない世界のことわざ』


『誰も知らない世界のことわざ』(エラ・フランシス・サンダース作、前田まゆみ訳、創元社刊)

たとえば、
・「ロバにスポンジケーキ」(ポルトガル語)=ブタに真珠と同じ意味で、その価値や扱い方をわかっていない人に与えることの無意味さを言う言葉。
・「PとQに気をつけて」(英語)=「言動によく注意して、お行儀良く振る舞いなさい」という幼い子への優しい注意の仕方。
・「オオカミの口の中へ!」(イタリア語)=「Good luck!」のイタリア語版。幸運を祈りながら、相手を送り出す時の言葉。


子どもとの会話が楽しくなる本!『翻訳できない世界のことば』『誰も知らない世界のことわざ』


・「ブドウは、お互いを見ながら熟す」(トルコ語)=仲間同士は似るようになり、まわりの人たちから学び成長していく(一番近くの人の影響を最も受ける)という意味。
・「あなたのレバーをいただきます」(ペルシア語)=深い愛情や愛着を表現する言葉(家族やごく親しい友人、愛し合っている人同士で使われる)。
・「私の頭にアイロンをかけないで」=アルメニア語で、イライラさせないでという意味。
・「わぁ! 馬が妊娠している!」=フィリピン語で、まったく思いがけないことが起きた時に言う「なにこれ!?」という言葉(つま先をぶつけたり、冷たいシャワーが出たりした時)。

子どもとの会話が楽しくなる本!『翻訳できない世界のことば』『誰も知らない世界のことわざ』


など。こちらも日常でよくあるシーンで使われる言葉ばかりです。たとえば、電車の中で子どもに「PとQに気をつけて」と言ってみたり、試合に行く前に「オオカミの口の中へ!」と背中を押してあげたり、怒っている時に「私の頭にアイロンをかけないでよ!」と言ってみたり。「え!?」と不思議に思いつつも、実は○○という国の言葉でこういう意味があるんだよと子どもに教えてあげるのも、おもしろいかもしれません。

ちなみに、日本語では「猿も木から落ちる」「猫をかぶる」が入っていました。

ユーモアたっぷりのイラストで、子どもが読んでも楽しい


この2冊の本の魅力は、個性的なイラストにもあります。言葉やことわざごとに描かれた、ユーモアあふれる楽しいイラストは、見ているだけで気分が和みます。著者であるエラ・フランシス・サンダースの豊かな感性とセンスあふれる絵は、大人が楽しむ絵本として、贈り物にしても喜ばれそうです。時間がない時も、パッと開いたページを読むだけでも理解できるので、細切れで楽しめるのも良いところです。

子どもとの会話が楽しくなる本!『翻訳できない世界のことば』『誰も知らない世界のことわざ』


文章の難しい漢字には、ふりがながふってあるので、小学校中低学年の子にも読める内容だと思います。世界には、こんなにいろいろな言語があり、多彩な表現があることを知る、よいきっかけになる本ではないかと思います。

親子で共有する楽しい本として、また大人がちょっと息抜きに読む本としても、おすすめの『翻訳できない世界のことば』と『誰も知らない世界のことわざ』。
ぜひ読んでみてください。

創元社 https://www.sogensha.co.jp

<文:フリーランス記者武田由紀子>

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