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習い事、続ける?やめる?元スイミングコーチがアドバイス

あんふぁん
春に新しい習い事を始めたお子さんも多いと思います。私は15年ほど子どもの水泳指導に携わっていました。毎週泣いているお子さん、いつまでも上達しないお子さん、他の習い事とのかけもちで多忙なお子さん…。いろいろなお子さんと関わる中で感じた“習い事のやめ時”“親ができる対応”について考えてみました。

短期水泳教室と定期水泳教室は少し異なる場合も・・・


意外なことに、お試しの短期教室を経て入会してから3カ月以内に退会するお子さんは少なくありません。理由のひとつは「短期教室は楽しかったけど、最近は行くのをイヤがる」というもの。実はこれはムリもないことなのです。
スクール側の短期教室の目標は“入会してもらうこと”。
お子さんには「楽しかった!ずっと習いたい!」、保護者には「短期間で上達した。やはりプロに習うと違う」と思ってもらえるようなレッスンを意識しています。
一方、定期教室の目標は“正しいフォームをマスターさせ、規定の距離を規定のタイムで完泳させること”。
そのため「短期のときはいろんなことを次々やらせてもらえたのに、今は同じことの反復練習ばかり」「短期のときはほめてもらえたのに、今は泳ぎをいちいち直されて好きなように泳げない」と子どもも保護者も感じ始める時期が入会して3カ月経った頃なのです。

習い事、続ける?やめる?元スイミングコーチがアドバイス


もちろん、このギャップを埋めるのはコーチの仕事。コーチや受付のスタッフに、子どもの言葉をそのまま伝えて相談するとよいと思います。私は現役時代、このような意見をもらったら“レッスンのテンポやカリキュラムを見直す。より笑顔で指導するよう心がける。
頭をなでたり小さな子なら抱きしめてあげる、スキンシップを交えて大げさにほめる”など、その子のやる気が回復するよう気を引き締めていました。結果として他のお子さんにもいい影響がありますから、コーチへの意見や要望は遠慮なく伝えてほしいと思います。

続けるかやめるか迷ったら、習い事の目的を考えてみよう


私がいまだに忘れられないのが、年少から6年生までずっと通ってくれたAくん。9年間しっかり通ってくれたのに、クロールも背泳ぎも25メートル完泳することができませんでした。担当をベテランに替えても、土日の無料補習レッスンに招待してもなかなか上達できず。もともと関節の硬いお子さんでしたし、水に顔をつけられるようになるまでに5年かかったことを考えると、もしかしたら水恐怖症だったのかもしれません。
Aくんのお母さんは、「上達や進級はしなくていい。始めたことを最後までやり遂げること、継続することの大切さを教えたい」という意見。

私は、自分より小さな子・後から入会した子にどんどん抜かされながらも黙々と練習しているAくんを見ていると、正直胸が痛みました。コーチたちは全員、Aくんが少しでも楽しく練習できるよう、他の友達がAくんをからかったりすることのないよう、気を配ったつもりです。

習い事、続ける?やめる?元スイミングコーチがアドバイス


Aくんのお母さんのように“あきらめず、ひとつのことに取り組み続ける大切さを教えるため”、苦手な習い事をあえて続けさせる、というのもひとつの考え方。
親となった私個人としては、習い事は“わが子が実力を発揮できて、輝ける場所を探すための手段”であり、“限りある時間とお金は、わが子の得意分野を伸ばすために使いたい”と考えています。
どちらが正しい悪いということではなく、“その習い事に何を求めているのか”じっくり考えてみると“続けるかやめるか”、答えが出るかもしれません。

お母さんの笑顔とほめ言葉が1番のモチベーション


コーチとしてお母さんにお願いしたいのは「楽しかった!」という感想で終われるよう、お子さんを誘導してほしい、ということ。
レッスン後、子どもたちをロッカーまで送っていくと、怖い顔をしたお母さんが待ち構えていて「なんでずっと泣いてたの!」「なんで途中で立っちゃうの!」と叱りつける、ということがよくありました。お金を払って通わせているのだから、という親としての気持ちもよくわかります。
でも、それをグッとこらえて何かひとつでもほめてあげるのが「来週もまた来よう」と思わせるヒケツ。
逆に、心配のあまり「どうだった?水は冷たかった?寒かった?コーチは怖かった?」など不安げに質問をするお母さんも多く、「言われてみれば冷たかったかも、寒かったかも、コーチもちょっと怖かったかも…」と、さっきまで元気だった子どもがだんだん暗い顔になっていくこともありました。
レッスン中は厳しいコーチも、最後は楽しい雰囲気で終われるよう気を配っているもの。お母さんには笑顔で子どもの背中を押してあげてほしいと思います。
習い事、続ける?やめる?元スイミングコーチがアドバイス


<文・写真:フリーランス記者森藤理絵>

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