世界が緑色に染まる!聖パトリックス・デーは日本でもイベント続々!
だいぶ春めいてくる3月。日本では女の子の健康や成長を祝うひな祭り、そして桜の色をイメージしたピンク色に染まる時期ですが、世界では3月といえば緑色!というところも多いのです。実は日本でも、年々盛り上がりを見せているのが「聖パトリックス・デーSt. Patrick’s Day」。アイルランドのお祭りです。
毎年10万人を動員する、東京の大パレード。アイルランド大使も参加し大きな盛り上がりを見せる(写真提供:INJ - Toru Tazura)
アイルランドの伝統行事
「聖パトリック」とは、ヨーロッパ最西端の国アイルランドの守護聖人。もともとケルト民族の土地で、ドルイド教という宗教が根付いていたアイルランドに5世紀ごろ、カソリック(キリスト教)をもたらした人物です。その後、隣国のイギリスから何度となく侵攻を受け、プロテスタントへの改宗を迫られ植民地化されても、アイルランド人はカソリックを支持し続けてきました。
そういう意味でカソリックはアイルランド人にとってアイデンティティそのもの。カソリックをもたらした聖パトリックの命日である3月17日にミサなどの行事を開催し祝うことは、数世紀前からアイルランドの伝統行事となっています。
世界に散らばったアイルランド人
それがなぜ、世界のあちこちで祝われるようになったのでしょう。
アイルランドって、歴史をひも解いてみるととても悲惨な史実がたくさん出てくるのですが、そのひとつがジャガイモ飢饉です。19世紀半ばにヨーロッパ全土でジャガイモの疫病(黒死病)が大発生し、アイルランドではジャガイモのみが主食であったこと、宗主国であるイギリスの政策により、それでも食糧輸出を余儀なくされたことから、多くの犠牲者が出てしまったのです。そのころ、やむをえず故郷を離れ海外に移住したアイルランド人は200万人にのぼると言われており、彼らはイギリスはもちろん、新大陸(アメリカ、カナダ)やオーストラリアなどに居を構え、たくさんの子孫を残しました。
ちなみに、アメリカ合衆国のケネディ大統領やクリントン大統領をはじめ、アイルランド系移民の子孫にはとても有名な人も多く、日本でも作家の小泉八雲(本名パトリック・ラフカディオ・ハーン)が知られています(彼はジャガイモ飢饉から逃れて来たわけではありませんが…)。
世界が緑色になる日
移民先でも故郷を想い、伝統を絶やさなかったアイルランド人。