子ども優先、でも大人も過ごしやすいリビングのつくり方
小さな子どもがいると、リビングはかわいらしさや明るさなど、子どもを優先したインテリアで考えがちですよね。
けれど実は大人が過ごしやすい雰囲気も残しておきたい、そんな本音も捨てがたいもの。そこで今回は、大人も楽しめるリビング内の子どもスペースのつくり方のポイントについて、インテリアコーディネーターの視点からお伝えしていきます。
赤ちゃんから小学校に入る前くらいまでの子どもとの生活では、子どもが一人で過ごすいわゆる子ども部屋はまだ準備せず、リビングなど家族が集まって過ごす空間の中に、子どもスペースをつくるというパターンが多いですね。
0~1歳の赤ちゃんならジョイントマットを敷きつめたり、保育園や幼稚園に通う年齢の子どもならおもちゃや絵本の収納棚と小さなテーブルセットを置いたりして、リビングの一角に子どもスペースを設ける形です。
リビングの中にオープンな状態で子どもスペースがありますから、インテリアは共通のスタイルでそろえたいもの。その場合、次のどちらがより希望に近いですか?
・子どもが楽しく過ごせるよう子ども向けの雰囲気を優先する
・その空間をメインで使うのは大人だから親の好みを優先する
インテリアというのは、ライフスタイルや好み、価値観といった要素の中でどれを重視するのかはそれぞれの家庭によって自由に決めていいものです。
しかし、小さな子どもが一緒にいる今しかできない前者の考え方を優先するなら、子ども向けのインテリアを軸にして考えるのがおすすめ。
子ども用のテーブルや椅子は、サイズアウトしていく服や靴とは違って一度買ったら当分は使い続けますから、丈夫さや使いやすさ、安全性といった点を重視して選ぶことが多いでしょう。
そこにインテリアという側面も考慮してデザインや色にもこだわりをもつと、子ども向けでありながらもインテリアのおしゃれ度がぐんとアップするのです。
まず、リビング全体のインテリアテイストに合わせるという点は常に意識しておきたいですね。たとえばシンプルモダンのインテリアのリビングに、ガーリーテイストの子ども用家具を合わせると、商品単体はかわいくても、テイストが違うので全体のバランスは崩れます。「テイストをそろえる」という点はしっかり押さえながら、デザインや色といった部分で子どもらしさを出すとリビング全体のまとまりが出やすくなります。
子ども用のテーブルや椅子の選び方については、子ども自身が触れる機会が多いことを頭に入れて次のようなポイントを押さえておきましょう。
・端や角の部分はケガにつながらないよう丸みのあるデザインを選ぶ
小さな子どもが住宅内でケガをする原因のひとつは、家具との衝突によるものです。
密着して使う家具だけに、万が一のことを考えて丸みのあるデザインを選ぶのがおすすめ。
・子どもが認識しやすいようはっきりした色が入った物を選ぶ
すべてを鮮やかな色の商品にするとややしつこくなってしまうので、一部の家具でカラーアレンジを楽しんでみましょう。おすすめは椅子。シンプルな色のテーブルに、きれいな色の座面や背もたれをもつ椅子を合わせるととてもおしゃれです。
子どもにとっては「この色の椅子が自分の椅子!」とお気に入りができますし、リビング全体から見てもインテリアのいいアクセントになりますよ。
その他に、子ども用でありながら大人も楽しめる家具をいくつか紹介しましょう。
たとえばこのキッズ用本棚。
子ども向けのデザインやサイズとして製作されていますから、子どもは喜んで使います。ただし子どもっぽさを強調しているデザインではないので、たとえばナチュラルモダンテイストのリビングに置いてもそう違和感はありません。
むしろ大人も、普段は抑えている無邪気な好奇心を刺激されて居心地がよくなるかもしれませんよね。
またこちらのミニソファは人気のインテリアブランド・カリモク家具が製造したカリモク60Kチェアミニ。
4~5歳くらいまでの子どもが座れるサイズのソファで、根強い人気をもつソファ「カリモク60」のデザインを忠実に再現しています。
黒の革張りやグリーンのモケット生地仕上げの張地、しっかりとした骨組みなど、子ども用家具でありながらとにかくかっこいい!
実際に座って使ってもいいのですが、ちょこんと置いておくだけでもセンスアップできる家具なのです。機能性や安全性に加えて遊び心があるこうした家具を使える時期は、子どもの成長を考えると本当に短いもの。貴重とも言える「今だけ」のインテリアを楽しみたいですね。
子どもスペースをリビングの中につくるなら、子どもの五感の成長との関係も頭に入れておきたい要素です。
人は、10歳頃までに視覚や触覚などの五感をしっかり使ってさまざまなことを体感していると、成長するにつれて豊かな感性が身に付くと言われています。特に視覚から得る情報は重要で、乳幼児期により多くの色や形・素材に触れた経験がある子どもは、成人後の色識別の能力が総じて高いことが分かっているのだとか。
子どものおもちゃがカラフルでさまざまな形になっているのは五感を刺激するため、というのはよく知られた話ですよね。
その理屈はインテリアにも当然当てはまります。
子どもが長い時間を過ごす子どもスペースは、いろんな色が楽しめるよう、棚・椅子やラグといったインテリアアイテムの色は自由に選びましょう。
その代わり、子どもスペースのあるリビング全体のインテリアは色の数を抑えてつくります。カーテンやソファ、テーブルなどはできるだけ同じトーンの色に統一して、シンプルさを優先させます。
リビングを空間全体、子どもスペースを空間の一部分として、シンプルさとにぎやかさとのメリハリをつければ、互いのよさを引き立て合うことができますし、大人と子どもとがそれぞれのよさを一緒に楽しめるのです。
よく「ひとつの部屋の中で使える色は3色まで」という話を聞きますが、小さな子どもが過ごすスペースではなかなか難しいこと。ですから無理やり色の数を抑えるのではなく、「全体はシンプルにして子どもスペースは自由に色を使う」ということを意識すれば、雑然とした雰囲気になることは避けられますよ。
キッズインテリアのあるリビング空間は、子どもが小さいうちしか味わえない、いわば期間限定のもの。親子でめいっぱい楽しんでみてはいかがでしょうか。
<文・写真:フリーランス記者河野由美子>
けれど実は大人が過ごしやすい雰囲気も残しておきたい、そんな本音も捨てがたいもの。そこで今回は、大人も楽しめるリビング内の子どもスペースのつくり方のポイントについて、インテリアコーディネーターの視点からお伝えしていきます。
リビングのインテリアは子ども向け?大人向け?
赤ちゃんから小学校に入る前くらいまでの子どもとの生活では、子どもが一人で過ごすいわゆる子ども部屋はまだ準備せず、リビングなど家族が集まって過ごす空間の中に、子どもスペースをつくるというパターンが多いですね。
0~1歳の赤ちゃんならジョイントマットを敷きつめたり、保育園や幼稚園に通う年齢の子どもならおもちゃや絵本の収納棚と小さなテーブルセットを置いたりして、リビングの一角に子どもスペースを設ける形です。
リビングの中にオープンな状態で子どもスペースがありますから、インテリアは共通のスタイルでそろえたいもの。その場合、次のどちらがより希望に近いですか?
・子どもが楽しく過ごせるよう子ども向けの雰囲気を優先する
・その空間をメインで使うのは大人だから親の好みを優先する
インテリアというのは、ライフスタイルや好み、価値観といった要素の中でどれを重視するのかはそれぞれの家庭によって自由に決めていいものです。
しかし、小さな子どもが一緒にいる今しかできない前者の考え方を優先するなら、子ども向けのインテリアを軸にして考えるのがおすすめ。
結果的に大人も楽しめる空間がつくりやすくなります。
子ども用のものに、デザインや色のこだわりをプラス
子ども用のテーブルや椅子は、サイズアウトしていく服や靴とは違って一度買ったら当分は使い続けますから、丈夫さや使いやすさ、安全性といった点を重視して選ぶことが多いでしょう。
そこにインテリアという側面も考慮してデザインや色にもこだわりをもつと、子ども向けでありながらもインテリアのおしゃれ度がぐんとアップするのです。
まず、リビング全体のインテリアテイストに合わせるという点は常に意識しておきたいですね。たとえばシンプルモダンのインテリアのリビングに、ガーリーテイストの子ども用家具を合わせると、商品単体はかわいくても、テイストが違うので全体のバランスは崩れます。「テイストをそろえる」という点はしっかり押さえながら、デザインや色といった部分で子どもらしさを出すとリビング全体のまとまりが出やすくなります。
子ども用のテーブルや椅子の選び方については、子ども自身が触れる機会が多いことを頭に入れて次のようなポイントを押さえておきましょう。
・端や角の部分はケガにつながらないよう丸みのあるデザインを選ぶ
小さな子どもが住宅内でケガをする原因のひとつは、家具との衝突によるものです。
テーブルや椅子の背などの端や角部分がとがっていると、頭や腕などを打ったり、皮膚の薄いところが当たると切れたりします。
密着して使う家具だけに、万が一のことを考えて丸みのあるデザインを選ぶのがおすすめ。
・子どもが認識しやすいようはっきりした色が入った物を選ぶ
すべてを鮮やかな色の商品にするとややしつこくなってしまうので、一部の家具でカラーアレンジを楽しんでみましょう。おすすめは椅子。シンプルな色のテーブルに、きれいな色の座面や背もたれをもつ椅子を合わせるととてもおしゃれです。
子どもにとっては「この色の椅子が自分の椅子!」とお気に入りができますし、リビング全体から見てもインテリアのいいアクセントになりますよ。
その他に、子ども用でありながら大人も楽しめる家具をいくつか紹介しましょう。
たとえばこのキッズ用本棚。
子ども向けのデザインやサイズとして製作されていますから、子どもは喜んで使います。ただし子どもっぽさを強調しているデザインではないので、たとえばナチュラルモダンテイストのリビングに置いてもそう違和感はありません。
むしろ大人も、普段は抑えている無邪気な好奇心を刺激されて居心地がよくなるかもしれませんよね。
またこちらのミニソファは人気のインテリアブランド・カリモク家具が製造したカリモク60Kチェアミニ。
4~5歳くらいまでの子どもが座れるサイズのソファで、根強い人気をもつソファ「カリモク60」のデザインを忠実に再現しています。
黒の革張りやグリーンのモケット生地仕上げの張地、しっかりとした骨組みなど、子ども用家具でありながらとにかくかっこいい!
実際に座って使ってもいいのですが、ちょこんと置いておくだけでもセンスアップできる家具なのです。機能性や安全性に加えて遊び心があるこうした家具を使える時期は、子どもの成長を考えると本当に短いもの。貴重とも言える「今だけ」のインテリアを楽しみたいですね。
全体と部分とのメリハリをつけよう
子どもスペースをリビングの中につくるなら、子どもの五感の成長との関係も頭に入れておきたい要素です。
人は、10歳頃までに視覚や触覚などの五感をしっかり使ってさまざまなことを体感していると、成長するにつれて豊かな感性が身に付くと言われています。特に視覚から得る情報は重要で、乳幼児期により多くの色や形・素材に触れた経験がある子どもは、成人後の色識別の能力が総じて高いことが分かっているのだとか。
子どものおもちゃがカラフルでさまざまな形になっているのは五感を刺激するため、というのはよく知られた話ですよね。
その理屈はインテリアにも当然当てはまります。
子どもが長い時間を過ごす子どもスペースは、いろんな色が楽しめるよう、棚・椅子やラグといったインテリアアイテムの色は自由に選びましょう。
その代わり、子どもスペースのあるリビング全体のインテリアは色の数を抑えてつくります。カーテンやソファ、テーブルなどはできるだけ同じトーンの色に統一して、シンプルさを優先させます。
リビングを空間全体、子どもスペースを空間の一部分として、シンプルさとにぎやかさとのメリハリをつければ、互いのよさを引き立て合うことができますし、大人と子どもとがそれぞれのよさを一緒に楽しめるのです。
よく「ひとつの部屋の中で使える色は3色まで」という話を聞きますが、小さな子どもが過ごすスペースではなかなか難しいこと。ですから無理やり色の数を抑えるのではなく、「全体はシンプルにして子どもスペースは自由に色を使う」ということを意識すれば、雑然とした雰囲気になることは避けられますよ。
キッズインテリアのあるリビング空間は、子どもが小さいうちしか味わえない、いわば期間限定のもの。親子でめいっぱい楽しんでみてはいかがでしょうか。
<文・写真:フリーランス記者河野由美子>