サイズ表記だけで選んでない? 子どもの"ぶかぶか靴"注意報!
体の土台である足の健康を守るためにも、靴選びはとっても大事。
しかし、足に合わない「ぶかぶか靴」を知らない間に子どもに履かせているかもしれません。
幼稚園などで子どもの足の計測や、正しい靴の履き方を指導している内田俊彦さんに子ども靴の正しい選び方、サイズの合わせ方を聞きました。
お話を聞いたのは:内田俊彦さん
NPO法人オーソティックスソサエティー理事長。医学博士、整形外科医。足や膝のトラブルに対し手術ではなく、足に合った靴を用いて改善を図る療法を提唱。幼稚園でも子どもの足の計測や、正しい靴の履き方指導を行っている。
ぶかぶか靴は大人も子どもも気付きにくい
過去の調査では、園児の半数が大きい靴を履いているという結果が出ました(下・データ1)。
欧米の子ども靴は1サイズに対して3〜5段階の太さ(足囲)があるため、自分に合う幅の靴が選びやすくなります。
しかし日本は平均的な足囲で靴を作っているため、足幅が狭い現代の子どもはぶかぶか靴になりやすいのです。
靴の中の様子を子どもに聞いてもよく分からないので、親も気付きにくいのがぶかぶか靴の厄介なところ。
対策としては、買い替えの頻度を見直すことです。
子どもの足の成長は3歳を過ぎると緩やかになり、1年で約1㎝ずつしか大きくなりません(同・データ2)。
3歳までと同じ調子で大きめの靴を買うと、足に合わない期間が長く続くので、半年に1回を買い替えの目安にしましょう。
※オーソティックスソサエティー調査、2001年、99名(外履きでの調査)
※オーソティックスソサエティー調査、2001年~2005年、855名(男児466名、女児389名)
その靴、もしかして“ 隠れぶかぶか靴”かも!? まずは今履いている靴をチェック
● チェックの仕方
子どもが外から帰ってきたら、靴下を脱がせてはだしにしてみてください。小指や薬指が曲がっていたら、それは「ぶかぶか靴」です!
なぜ指の曲がり方で分かるの?
靴が緩いと足が靴の中で動き、つま先の先端まで指が押し付けられます。
ぶかぶか靴によるトラブルは後からやってくる!
ぶかぶか靴を履いていると、靴が脱げないように余分な筋肉を使って歩くようになります。
それが何年も続くと、大人になってから足腰を痛めたり、外反母趾(がいはんぼし)や内反小趾(ないはんしょうし)になったり、姿勢や歯のかみ合わせにも影響が出てきます。
さらに、これらの症状は体にすぐ現れるものではありません。
幼稚園から、ぶかぶか靴を履き続けたとして、トラブルが現れるのは小学校高学年以降。
また、症状が現れたところで誰も靴が原因だとは思わないので、根本的な治療ができないままということもあります。
上のイラストでは、ぶかぶかになりにくい靴の条件を紹介しています。
もうサイズ表記だけに頼らない! 靴の選び方・履かせ方の極意
正しい選び方と履かせ方を知れば足にぴったり合った気持ちのいい靴は手に入る!
ママが実践できる極意を伝授します。
●極意:新しく購入するとき
靴の中敷きを外して足に合っているかチェックすべし
靴は、同じサイズでもメーカーによって、つま先の余裕の取り方や幅の広さが異なります。ですから同じ16㎝表示の靴でも、メーカーが違えば大きさが異なることもあるのです。
そこでサイズの目安となるのが中敷きです。お店の人に断って靴から外してもらい、子どもの足に当てましょう。つま先に1㎝の余裕があればOKです。
●極意:履かせるとき
ベルトはつま先を浮かせてかっちり締めるべし
「ステップ3」でつま先を浮かせた状態でベルトを締めるのは、足に体重をかけないため。体重をかけたときとかけないときでは、大人の足でも幅は1㎝弱、長さは1・5〜1・8㎝程度変わります。体重をかけた状態でベルトや靴紐を締めてしまうと、蹴り上げたときに靴の中で足が動き、ぶかぶか靴になってしまうのです。
こうした履き方は時間が掛かりますが、素早く脱ぎ履きできるというのは、その分靴が固定されていないということ。できるようになるまで、ママが手助けしてくださいね。
【STEP1】
ベルトを広げ、靴下のシワを伸ばして足を入れる
【STEP2】
ベルトを締める前にかかとをトントン
【STEP3】
つま先を浮かせた状態でベルトを締める
【STEP4】
靴の中で足指を動かせるか確かめる
●極意:買い替えるとき
靴底と靴の後ろも定期的にチェックすべし
園児の足は1年で約1㎝成長します。新しく購入するときつま先に1㎝の余裕を持たせていれば、半年後には0・5㎝の余裕が残っているはず。
サイズだけでなく、靴のバランスも重要です。靴底の削れ方や、靴を後ろから見たときの傾き具合をチェックし、バランスが崩れていたら半年を待たずに買い替えを。購入時に靴底とかかと側の写真を残しておいて、定期的に見比べるといいですね。
かかとの減り方が均一でなく、靴のバランスが崩れている
左右で靴底の模様の削れ方が違う。これもバランスが崩れている証拠
やっぱりこれはNGですか?あんふぁん読者たちの靴の選び方
子どもに履かせている靴についてあてはまることを読者に聞きました(複数回答)。ママたちの本音としては、なるべく長く履かせて買い替えを減らしたいところですが…。01. 少し大きめの靴を選ぶことがある……66.0%
02. お下がりを履かせたことがある……46.2%
03. 実際に試さずに通販で買ったことがある……22.9%
04. 競技用シューズを普段使いしている…7.5%
05. ブーツやヒールなどのお洒落靴を履かせている……6.2%
一番よく履く靴でなければ神経質になり過ぎなくて大丈夫です
理想を言えば、履き癖のついたお下がりの靴や、デザインを重視したお洒落靴は、子どもの足にとってお勧めできません。
通販は、幅の広さが豊富な海外の靴を扱っているなど、良い面もあります。ただ、履かせてみて足に合わない場合は返品してください。
競技用シューズの普段使いについては、なるべく避けてほしいですね。中には左右で靴のバランスが違うつくりのものもあるので、普段履きには適していません。
足の健康を考える内田さんの思い
園や学校での履き物は、欧米では足を固定しやすい「紐靴」なのに対して、日本の場合はほとんどが脱ぎ履きのしやすさを重視した「バレエシューズ」タイプの上履きです。しかも上履きに使われている木型は、戦後以降子どもの足の計測が全くされていないので戦後のままです。私の願いは、園や学校などの教育機関が健康診断で足の計測を始めたり、保護者からも「子どもの足に合った靴を選びたい」という声が少しずつ上がること。
illustrationSHIBATA Keiko
しかし、足に合わない「ぶかぶか靴」を知らない間に子どもに履かせているかもしれません。
幼稚園などで子どもの足の計測や、正しい靴の履き方を指導している内田俊彦さんに子ども靴の正しい選び方、サイズの合わせ方を聞きました。
お話を聞いたのは:内田俊彦さん
NPO法人オーソティックスソサエティー理事長。医学博士、整形外科医。足や膝のトラブルに対し手術ではなく、足に合った靴を用いて改善を図る療法を提唱。幼稚園でも子どもの足の計測や、正しい靴の履き方指導を行っている。
ぶかぶか靴は大人も子どもも気付きにくい
過去の調査では、園児の半数が大きい靴を履いているという結果が出ました(下・データ1)。
欧米の子ども靴は1サイズに対して3〜5段階の太さ(足囲)があるため、自分に合う幅の靴が選びやすくなります。
しかし日本は平均的な足囲で靴を作っているため、足幅が狭い現代の子どもはぶかぶか靴になりやすいのです。
靴の中の様子を子どもに聞いてもよく分からないので、親も気付きにくいのがぶかぶか靴の厄介なところ。
対策としては、買い替えの頻度を見直すことです。
子どもの足の成長は3歳を過ぎると緩やかになり、1年で約1㎝ずつしか大きくなりません(同・データ2)。
3歳までと同じ調子で大きめの靴を買うと、足に合わない期間が長く続くので、半年に1回を買い替えの目安にしましょう。
※オーソティックスソサエティー調査、2001年、99名(外履きでの調査)
※オーソティックスソサエティー調査、2001年~2005年、855名(男児466名、女児389名)
その靴、もしかして“ 隠れぶかぶか靴”かも!? まずは今履いている靴をチェック
● チェックの仕方
子どもが外から帰ってきたら、靴下を脱がせてはだしにしてみてください。小指や薬指が曲がっていたら、それは「ぶかぶか靴」です!
靴が緩いと足が靴の中で動き、つま先の先端まで指が押し付けられます。
その時、軟らかい小指や薬指が曲がってしまうのです。私が園で行った調査では、小指が曲がっている園児が約7割いました。
ぶかぶか靴によるトラブルは後からやってくる!
ぶかぶか靴を履いていると、靴が脱げないように余分な筋肉を使って歩くようになります。
それが何年も続くと、大人になってから足腰を痛めたり、外反母趾(がいはんぼし)や内反小趾(ないはんしょうし)になったり、姿勢や歯のかみ合わせにも影響が出てきます。
さらに、これらの症状は体にすぐ現れるものではありません。
幼稚園から、ぶかぶか靴を履き続けたとして、トラブルが現れるのは小学校高学年以降。
また、症状が現れたところで誰も靴が原因だとは思わないので、根本的な治療ができないままということもあります。
上のイラストでは、ぶかぶかになりにくい靴の条件を紹介しています。
足の幅が狭い・広い、甲が高いなどで合う靴が見つかりにくいというお子さんも、ベルトで締められる靴なら、足に合わせた調整が利きます。園指定の上履きなどの場合は難しいと思いますが、中敷きを入れたり、厚めの靴下を履かせたりして、なるべく足に合わせる工夫をしてみてくださいね。
もうサイズ表記だけに頼らない! 靴の選び方・履かせ方の極意
正しい選び方と履かせ方を知れば足にぴったり合った気持ちのいい靴は手に入る!
ママが実践できる極意を伝授します。
●極意:新しく購入するとき
靴の中敷きを外して足に合っているかチェックすべし
靴は、同じサイズでもメーカーによって、つま先の余裕の取り方や幅の広さが異なります。ですから同じ16㎝表示の靴でも、メーカーが違えば大きさが異なることもあるのです。
そこでサイズの目安となるのが中敷きです。お店の人に断って靴から外してもらい、子どもの足に当てましょう。つま先に1㎝の余裕があればOKです。
中敷きのない靴を購入する場合は、専門店なら子ども用の中敷きを置いているので、それを使わせてもらうか、手持ちの靴の中敷きを外して店舗まで持っていき、それを目安に判断してください。
ベルトはつま先を浮かせてかっちり締めるべし
「ステップ3」でつま先を浮かせた状態でベルトを締めるのは、足に体重をかけないため。体重をかけたときとかけないときでは、大人の足でも幅は1㎝弱、長さは1・5〜1・8㎝程度変わります。体重をかけた状態でベルトや靴紐を締めてしまうと、蹴り上げたときに靴の中で足が動き、ぶかぶか靴になってしまうのです。
こうした履き方は時間が掛かりますが、素早く脱ぎ履きできるというのは、その分靴が固定されていないということ。できるようになるまで、ママが手助けしてくださいね。
【STEP1】
ベルトを広げ、靴下のシワを伸ばして足を入れる
【STEP2】
ベルトを締める前にかかとをトントン
【STEP3】
つま先を浮かせた状態でベルトを締める
【STEP4】
靴の中で足指を動かせるか確かめる
●極意:買い替えるとき
靴底と靴の後ろも定期的にチェックすべし
園児の足は1年で約1㎝成長します。新しく購入するときつま先に1㎝の余裕を持たせていれば、半年後には0・5㎝の余裕が残っているはず。
それ以上履き続けるときつくなるので、半年くらいが買い替えのタイミングなのです。
サイズだけでなく、靴のバランスも重要です。靴底の削れ方や、靴を後ろから見たときの傾き具合をチェックし、バランスが崩れていたら半年を待たずに買い替えを。購入時に靴底とかかと側の写真を残しておいて、定期的に見比べるといいですね。
かかとの減り方が均一でなく、靴のバランスが崩れている
左右で靴底の模様の削れ方が違う。これもバランスが崩れている証拠
やっぱりこれはNGですか?あんふぁん読者たちの靴の選び方
子どもに履かせている靴についてあてはまることを読者に聞きました(複数回答)。ママたちの本音としては、なるべく長く履かせて買い替えを減らしたいところですが…。01. 少し大きめの靴を選ぶことがある……66.0%
02. お下がりを履かせたことがある……46.2%
03. 実際に試さずに通販で買ったことがある……22.9%
04. 競技用シューズを普段使いしている…7.5%
05. ブーツやヒールなどのお洒落靴を履かせている……6.2%
一番よく履く靴でなければ神経質になり過ぎなくて大丈夫です
理想を言えば、履き癖のついたお下がりの靴や、デザインを重視したお洒落靴は、子どもの足にとってお勧めできません。
でも、レインシューズやサンダルなど、たまにしか履かない靴であれば、そんなに神経質になり過ぎなくても大丈夫です。
通販は、幅の広さが豊富な海外の靴を扱っているなど、良い面もあります。ただ、履かせてみて足に合わない場合は返品してください。
競技用シューズの普段使いについては、なるべく避けてほしいですね。中には左右で靴のバランスが違うつくりのものもあるので、普段履きには適していません。
足の健康を考える内田さんの思い
日本の子ども靴を取り巻く環境は決して良いとは言えません
園や学校での履き物は、欧米では足を固定しやすい「紐靴」なのに対して、日本の場合はほとんどが脱ぎ履きのしやすさを重視した「バレエシューズ」タイプの上履きです。しかも上履きに使われている木型は、戦後以降子どもの足の計測が全くされていないので戦後のままです。私の願いは、園や学校などの教育機関が健康診断で足の計測を始めたり、保護者からも「子どもの足に合った靴を選びたい」という声が少しずつ上がること。
そうした動きが、やがて日本の靴メーカーを変える力になると願っています。
illustrationSHIBATA Keiko