日本でも拡大中!フィンランド式育児支援「ネウボラ」ってどんなシステム?
フィンランドでのネウボラ利用率は99%にのぼるというのも納得です。
新米ママのニーナさんと夫のユハナさん。いつも冗談ばかり言って笑わせてくれる夫だけれど、やっぱり初めての子育てでは不安もいっぱい?
ひとりで悩まなくてもいい
筆者が娘を妊娠していたとき、トラベルジャーナリストという仕事柄、お腹が大きくなってくると海外取材ができず仕事が激減。だんだん目減りする貯金通帳を見るたびに、産後に社会復帰ができるのだろうか、などと不安になりため息が出てしまったものです。しかしこんなことはどこの誰に相談すればいいのかわかりません。親に言えば心配をかけてしまうし、友人たちにも金銭的な話はなんとなくしづらい。筆者の場合は漠然とした不安があるだけで、実際に路頭に迷うような状況ではありませんでしたが、それでもただ話を聞いてくれる人がいるだけでかなり気持ちがラクになっただろうと思うのです。
フィンランドではネウボヤにこういうことを相談すると、公共で受けられるサービスや税金の減額の手続きなどを具体的に紹介してくれるのだそう。
ネウボヤとの最初の面談ではまず就労状況のほかに家族の病歴、そして夫やボーイフレンドとの関係までも話します。そのあとも体調のことから金銭的なこと、夫に対する不満ですら、こちらの状況をきちんと把握している人が聴いてくれるため、話が早いということは言うまでもありません。幸いニーナにはそうした悩みはなかったものの、「いつでも誰かが気にかけてくれている、という安心感がありました」と言います。フィンランドの人々にとってネウボヤは家族でも友だちでもない、でも個人的にとてもつながりの深い、大変頼りになる存在なのです。
出産後も続く手厚いケア
昨年、ニーナは無事に男の赤ちゃんを出産。陣痛への不安があったものの、一足先に先輩になったモデルカップルから話を聴くことで問題なく出産に臨むことができたそう。これもヘルシンキ市のネウボラシステムの一環で、ネットや“教科書”ではなく直接経験者から話を聴くことができるのがうれしかった、とニーナは言います。ちなみに、ヘルシンキ市ではネウボヤとの面会予約がないときでも看護師にチャットで質問ができる「ネウボラ・チャット」があるほか、ネウボラオフィスに行けばいつでも赤ちゃんの体重や身長を計って成長具合をチェックすることができます。
病院や保健所に予約をとるのと違い、かなり自由度が高く、気になることがあれば即座に専門家と話ができるシステムで、これにはニーナも大変助けられたそう。