“いろいろある”がいいね ダイバーシティーな家族のありかた
相手の気持ちや状況を理解することは、人と付き合う上でとても大切なこと。
今回は、さまざまな境遇のママたちのコメントを紹介。そこから見えてくる思いを、あなたならどのように受け止めますか?
近頃よく聞く「ダイバーシティー」という言葉。直訳すると「多様性」という意味で、日本では会社における女性活用など、人材活用に関して使われることが多いようです。
でも、ふとまわりを見まわしてみると、いろいろな家族の形があると思いませんか?
専業主婦のママに専業主夫のパパ、共働き家庭や外国人のパパやママ、シングルマザー、障害を持つ子どものいる家庭など…。家族のありかたは千差万別です。子どもたちが育つこれからの世界では、きっともっと多様になっていくはず。今こそ、家族のありかたや付き合い方について、考えてみませんか。
幼稚園での出会いを、大切にしたいと思っているママはきっと多いはず。
でも、こんなときはどう対応すればいいの?
● なんでいつもパパがお迎えに来ているんだろう?と思っていたら、専業主夫のパパでした。どう話し掛けたらよいのか分からず、いまだにぎこちない接し方になっています。(岐阜県・年中ママ)
● 離婚したらしく、苗字が変わった親子がいます。わが子に「どうして〇〇くんは名前が変わったの?」と聞かれ、何と答えたものか困りました。本人に聞くわけにもいかないし…。(埼玉県・年長ママ)
● 日本語を話せない外国人のママ。子どもたちはどんどん仲良くなるけれど、親同士は会話も盛り上がらず…。
● シングルマザーの幼稚園のママ友。ランチ会に誘っても、忙しいからとたいてい断られてしまいます。かといって、誘わないと仲間外れにしているようで…。(埼玉県・年中ママ)
● 障害を持つお子さんのママとの会話は気を使います。話は聞けても当事者の気持ちにはなれないので、“普通” という言葉は使わないようにしています。(神奈川県・年長ママ)
いろいろな人がいるのは分かっているけれど、相手の発言や態度に悩むこともあります。そんなママの気持ち、聞かせて!
● 私がシングルマザーだと知らずに、目の前で母子家庭の悪口を言う人がたくさんいます。
● 「なんでこんなこともできないの?」という無言の視線が一番つらいです。直接言ってもらえれば、説明することもできるのに。(大阪府・年長ママ)
● パパが外国人で、子どももすぐにそれと分かる外見です。そのせいか、ほかのママたちにチヤホヤされてしまい…。子どもによくないな、と少し困ります。(大阪府・年少ママ)
● わが子に向かって、「普通に見えるのにね」と言われた。今でも怒りがこみ上げるし、悲しいです。
● 言葉の遅い息子に対し、お友達が心無い言葉を掛けていたのに、その子のママは知らんぷり。子どもは仕方ないと思いますが、親御さんからは何か一言あってもいいのに…。(福岡県・年少ママ)
自分とは違う境遇の人に出会うと、どう付き合っていくか戸惑うことってありますよね。
でも、〝違うから合わない〞わけではありません。自身もひとり親で息子を育てつつ、さまざまな形の家族に出会ってきた大塚玲子さんに、話を聞きました。
お話を聞いたのは:大塚玲子さん
おおつか・れいこ/ライター・編集者。主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA・学校」。ひとり親家庭や再婚家庭、里親家庭、LGBT 家族、などの取材を通し、家族の形が「なんでもアリ」の社会にするため、「定形外かぞく(家族のダイバーシティ)」を主宰する。
幼稚園などで出会うたくさんの親子。その中には、自分とは育ってきた環境や家族構成、置かれている状況が違う人もたくさんいます。仲良くなりたいと思いつつも、実際に自分と違う境遇の人に会うと、戸惑ってしまうこともありますよね。知らないから、分からない。分からないから、付き合うことをためらってしまうこともあるかもしれません。事情を抱えた当人にしてみても、「話した方がいいのか、どこまで話せばいいのか」と悩んで周囲に打ち明けることができず、理解が得られないこともあるでしょう。
そんなときは、「どんな形の家族でもいい。
読者のコメントに、「子どもの友達の心無い言葉に傷付いた」というものがありました。反対に、「子どもたちは大人同士の付き合いに関係なく、仲良くなった」というものも。
子どもたちは、良くも悪くも親の影響を大きく受けるものです。ママやパパの態度や言葉が正しいものと思い、それを自分もまねしようとします。
大塚さんは、「事情のある側も、できる範囲で伝えていったほうがいい」と考えているそう。全てを話さずに「何か事情がある」とにおわす、ゆるいカミングアウトをする程度でも、「踏み込んでほしくないことへの線引きもできるし、相手も付き合いやすくなると思いますよ」。
相手を理解しようと努力し、誠実に向き合うことは、どんな人間関係だって大切なことですよね。「自分とは違うから」と最初から背を向けてしまわずに、まずは声を掛けてみることから始めてみませんか。
相手に対する気遣いや、理解しようとする態度は、どんな人間関係にも大事なこと。
それをきちんと見せることが、関係を育む第一歩かもしれません。
● シングルマザーになってから「何かあったら手伝うよ」とはよく言ってもらいますが、実際はなかなか頼りづらいです。そんなとき、「これやるよ!」と具体的に言ってもらえたのはかなりうれしかったです。(東京都・年少ママ)
● 落ちつきのなさが気になる息子がいます。ママ友がとても理解のある人たちで、「少し預かろうか?」「子どもだけで泊まりに来ていいよ」など、親切に声を掛けてもらえて安心しました。(京都府・年中ママ)
● 娘に発達障害があることを知った上で、仲良くしてくれるお友達とそのママたち。気さくに声を掛けてくれたり、幼稚園でこんなことをしていたよ、などうれしい情報をくれて、本当に感謝しています。(埼玉県・年長ママ)
● 夫が外国人なのですが、その出身国について幼稚園の子どもたちが興味を持ってくれて、とてもうれしかったです。(埼玉県・年少ママ)
illustrationSHIBATA Keiko
今回は、さまざまな境遇のママたちのコメントを紹介。そこから見えてくる思いを、あなたならどのように受け止めますか?
ダイバーシティー=多様性、変化する家族の姿
近頃よく聞く「ダイバーシティー」という言葉。直訳すると「多様性」という意味で、日本では会社における女性活用など、人材活用に関して使われることが多いようです。
でも、ふとまわりを見まわしてみると、いろいろな家族の形があると思いませんか?
専業主婦のママに専業主夫のパパ、共働き家庭や外国人のパパやママ、シングルマザー、障害を持つ子どものいる家庭など…。家族のありかたは千差万別です。子どもたちが育つこれからの世界では、きっともっと多様になっていくはず。今こそ、家族のありかたや付き合い方について、考えてみませんか。
こういう時はどうすればいいの?
幼稚園での出会いを、大切にしたいと思っているママはきっと多いはず。
でも、こんなときはどう対応すればいいの?
● なんでいつもパパがお迎えに来ているんだろう?と思っていたら、専業主夫のパパでした。どう話し掛けたらよいのか分からず、いまだにぎこちない接し方になっています。(岐阜県・年中ママ)
● 離婚したらしく、苗字が変わった親子がいます。わが子に「どうして〇〇くんは名前が変わったの?」と聞かれ、何と答えたものか困りました。本人に聞くわけにもいかないし…。(埼玉県・年長ママ)
● 日本語を話せない外国人のママ。子どもたちはどんどん仲良くなるけれど、親同士は会話も盛り上がらず…。
どう声を掛けたらいいか、迷ってしまいます。(神奈川県・年少ママ)
● シングルマザーの幼稚園のママ友。ランチ会に誘っても、忙しいからとたいてい断られてしまいます。かといって、誘わないと仲間外れにしているようで…。(埼玉県・年中ママ)
● 障害を持つお子さんのママとの会話は気を使います。話は聞けても当事者の気持ちにはなれないので、“普通” という言葉は使わないようにしています。(神奈川県・年長ママ)
こんなことがありました
いろいろな人がいるのは分かっているけれど、相手の発言や態度に悩むこともあります。そんなママの気持ち、聞かせて!
● 私がシングルマザーだと知らずに、目の前で母子家庭の悪口を言う人がたくさんいます。
そのせいで幼稚園では誰にも打ち明けられず、友達すら一人も作れません。(神奈川県・年中ママ)
● 「なんでこんなこともできないの?」という無言の視線が一番つらいです。直接言ってもらえれば、説明することもできるのに。(大阪府・年長ママ)
● パパが外国人で、子どももすぐにそれと分かる外見です。そのせいか、ほかのママたちにチヤホヤされてしまい…。子どもによくないな、と少し困ります。(大阪府・年少ママ)
● わが子に向かって、「普通に見えるのにね」と言われた。今でも怒りがこみ上げるし、悲しいです。
(兵庫県・年長ママ)
● 言葉の遅い息子に対し、お友達が心無い言葉を掛けていたのに、その子のママは知らんぷり。子どもは仕方ないと思いますが、親御さんからは何か一言あってもいいのに…。(福岡県・年少ママ)
“違う=合わない”は思い込みかも、どんな家族の形もアリ!大切なのは向き合う姿勢
自分とは違う境遇の人に出会うと、どう付き合っていくか戸惑うことってありますよね。
でも、〝違うから合わない〞わけではありません。自身もひとり親で息子を育てつつ、さまざまな形の家族に出会ってきた大塚玲子さんに、話を聞きました。
お話を聞いたのは:大塚玲子さん
おおつか・れいこ/ライター・編集者。主なテーマは「いろんな形の家族」と「PTA・学校」。ひとり親家庭や再婚家庭、里親家庭、LGBT 家族、などの取材を通し、家族の形が「なんでもアリ」の社会にするため、「定形外かぞく(家族のダイバーシティ)」を主宰する。
著書は『オトナ婚です、わたしたち』『PTA をけっこうラクにたのしくする本』など。共著に『子どもの人権をまもるために』など
「こうあるべき」は本当?その気持ちを疑おう
幼稚園などで出会うたくさんの親子。その中には、自分とは育ってきた環境や家族構成、置かれている状況が違う人もたくさんいます。仲良くなりたいと思いつつも、実際に自分と違う境遇の人に会うと、戸惑ってしまうこともありますよね。知らないから、分からない。分からないから、付き合うことをためらってしまうこともあるかもしれません。事情を抱えた当人にしてみても、「話した方がいいのか、どこまで話せばいいのか」と悩んで周囲に打ち明けることができず、理解が得られないこともあるでしょう。
そんなときは、「どんな形の家族でもいい。
なんでもアリだと思ってもらいたいです。どんな家族でも上下はない、という気持ちを持ってほしい」と、大塚さんは話します。例えば、「大黒柱は男性であるべきで、働かないなんて有り得ない」と考えていれば、専業主夫の人に対してつい否定的な目で見てしまうかもしれません。でも、「こうあるべき、こうじゃなきゃおかしい」という前提が間違っていることもある、そのことに気付いてほしいと言います。
子どもに恥じない大人であれ
読者のコメントに、「子どもの友達の心無い言葉に傷付いた」というものがありました。反対に、「子どもたちは大人同士の付き合いに関係なく、仲良くなった」というものも。
子どもたちは、良くも悪くも親の影響を大きく受けるものです。ママやパパの態度や言葉が正しいものと思い、それを自分もまねしようとします。
親である大人たちは、わが子に「こう育ってほしい」「こういう行動はしてほしくない」と思うその姿勢を見せていくことが、大事なのだと思います。
大塚さんは、「事情のある側も、できる範囲で伝えていったほうがいい」と考えているそう。全てを話さずに「何か事情がある」とにおわす、ゆるいカミングアウトをする程度でも、「踏み込んでほしくないことへの線引きもできるし、相手も付き合いやすくなると思いますよ」。
相手を理解しようと努力し、誠実に向き合うことは、どんな人間関係だって大切なことですよね。「自分とは違うから」と最初から背を向けてしまわずに、まずは声を掛けてみることから始めてみませんか。
うれしかった、助かった!ママたちの気持ち
相手に対する気遣いや、理解しようとする態度は、どんな人間関係にも大事なこと。
それをきちんと見せることが、関係を育む第一歩かもしれません。
● シングルマザーになってから「何かあったら手伝うよ」とはよく言ってもらいますが、実際はなかなか頼りづらいです。そんなとき、「これやるよ!」と具体的に言ってもらえたのはかなりうれしかったです。(東京都・年少ママ)
● 落ちつきのなさが気になる息子がいます。ママ友がとても理解のある人たちで、「少し預かろうか?」「子どもだけで泊まりに来ていいよ」など、親切に声を掛けてもらえて安心しました。(京都府・年中ママ)
● 娘に発達障害があることを知った上で、仲良くしてくれるお友達とそのママたち。気さくに声を掛けてくれたり、幼稚園でこんなことをしていたよ、などうれしい情報をくれて、本当に感謝しています。(埼玉県・年長ママ)
● 夫が外国人なのですが、その出身国について幼稚園の子どもたちが興味を持ってくれて、とてもうれしかったです。(埼玉県・年少ママ)
illustrationSHIBATA Keiko